5月2日(金):郵便貯金の日
朝、慌ただしく朝食を囲む山本家。
「今日は『郵便貯金の日』なんだってさ。」
翔太が新聞をめくりながらつぶやくと、結衣がパンを焼きながら笑った。
「へえ、そんな日があるんだね。海斗、牛乳こぼさないでね!」
海斗はあわててコップを持ち直しながら、「郵便局って、お金もためられるの!?」と興味津々。
「そうだよ。昔から日本人の『コツコツ貯める』文化を支えてきたんだ。」
勝が湯呑みを手に、ゆっくりと語る。
「僕も今日からお小遣い、郵便局に貯金しようかな!」
海斗の元気な声に、姉の愛が苦笑いしながらランドセルを整えた。
「まずはちゃんと宿題終わらせてからだね。」
慌ただしい朝の時間。翔太はネクタイを締め直しながら、「よし、今日も頑張るか!」と気合を入れる。
勝と澄江が見送る中、翔太、愛、海斗はそれぞれ会社と大学、小学校へ出発した。
午後、家には結衣と勝、澄江だけ。
「せっかくだから、結衣さん、郵便局に行ってこようか。」
勝が提案し、近所の郵便局まで散歩がてら出かけることに。
郵便局では、新緑のポスターとともに「郵便貯金の日」の小さな展示が行われていた。懐かしい古い通帳や、昔の貯金箱の展示に、勝は目を細める。
「懐かしいなぁ。このブタさん貯金箱、うちにもあったよ。」
結衣も展示を眺めながら、ふと考えた。
「海斗や愛にも、貯金の習慣をちゃんと教えなきゃね。」
小さな貯金通帳を手に、結衣は家族用に新しい貯金目標ノートを作ることを決めた。
夜。
帰宅した翔太と海斗、そして少し遅れて愛も揃い、家族で夕食を囲む。
「おかえり。今日も一日、お疲れ様!」
結衣が笑顔で迎え、テーブルには手作りのハンバーグと野菜たっぷりのスープが並んでいた。
食事の合間、勝がそっと古い自分の通帳を取り出して、家族に見せる。
「これ、若い頃にこつこつ貯めた通帳だ。最初はたった500円から始めたんだ。」
「えっ、500円!?」
海斗が目を丸くする。
「でも、その小さな積み重ねが、大きな支えになったんだ。」
勝の言葉に、翔太も頷く。
「そうだな。今だって、少しずつ積み重ねることが大事だよな。」
結衣が用意した『未来の目標ノート』を取り出すと、海斗がいち早く書き始めた。
「秘密基地を作るために、毎月100円ためる!」
愛も少し照れながら、ノートに「デザイン留学資金」と記した。
翔太は「家族旅行資金」、結衣は「カフェ改装資金」、勝と澄江は「孫たちへの応援基金」とそれぞれ記入。
小さなノートに込めた、家族それぞれの夢と希望。
「お金だけじゃないね。」
澄江がそっとつぶやく。
「こうして、未来を思って一緒に考える時間が、何よりの宝物だね。」