表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/297

5月2日(金):郵便貯金の日

朝、慌ただしく朝食を囲む山本家。


「今日は『郵便貯金の日』なんだってさ。」

翔太が新聞をめくりながらつぶやくと、結衣がパンを焼きながら笑った。


「へえ、そんな日があるんだね。海斗、牛乳こぼさないでね!」


海斗はあわててコップを持ち直しながら、「郵便局って、お金もためられるの!?」と興味津々。


「そうだよ。昔から日本人の『コツコツ貯める』文化を支えてきたんだ。」

勝が湯呑みを手に、ゆっくりと語る。


「僕も今日からお小遣い、郵便局に貯金しようかな!」

海斗の元気な声に、姉の愛が苦笑いしながらランドセルを整えた。


「まずはちゃんと宿題終わらせてからだね。」


慌ただしい朝の時間。翔太はネクタイを締め直しながら、「よし、今日も頑張るか!」と気合を入れる。


勝と澄江が見送る中、翔太、愛、海斗はそれぞれ会社と大学、小学校へ出発した。


午後、家には結衣と勝、澄江だけ。


「せっかくだから、結衣さん、郵便局に行ってこようか。」

勝が提案し、近所の郵便局まで散歩がてら出かけることに。


郵便局では、新緑のポスターとともに「郵便貯金の日」の小さな展示が行われていた。懐かしい古い通帳や、昔の貯金箱の展示に、勝は目を細める。


「懐かしいなぁ。このブタさん貯金箱、うちにもあったよ。」


結衣も展示を眺めながら、ふと考えた。


「海斗や愛にも、貯金の習慣をちゃんと教えなきゃね。」


小さな貯金通帳を手に、結衣は家族用に新しい貯金目標ノートを作ることを決めた。


夜。


帰宅した翔太と海斗、そして少し遅れて愛も揃い、家族で夕食を囲む。


「おかえり。今日も一日、お疲れ様!」

結衣が笑顔で迎え、テーブルには手作りのハンバーグと野菜たっぷりのスープが並んでいた。


食事の合間、勝がそっと古い自分の通帳を取り出して、家族に見せる。


「これ、若い頃にこつこつ貯めた通帳だ。最初はたった500円から始めたんだ。」


「えっ、500円!?」

海斗が目を丸くする。


「でも、その小さな積み重ねが、大きな支えになったんだ。」

勝の言葉に、翔太も頷く。


「そうだな。今だって、少しずつ積み重ねることが大事だよな。」


結衣が用意した『未来の目標ノート』を取り出すと、海斗がいち早く書き始めた。


「秘密基地を作るために、毎月100円ためる!」


愛も少し照れながら、ノートに「デザイン留学資金」と記した。


翔太は「家族旅行資金」、結衣は「カフェ改装資金」、勝と澄江は「孫たちへの応援基金」とそれぞれ記入。


小さなノートに込めた、家族それぞれの夢と希望。


「お金だけじゃないね。」

澄江がそっとつぶやく。


「こうして、未来を思って一緒に考える時間が、何よりの宝物だね。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ