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4月29日(火):昭和の日

朝の柔らかな日差しがリビングを明るく照らしていた。窓際には祖父・勝が静かに新聞をめくりながら、懐かしい写真アルバムを広げている。


「おじいちゃん、何それ?」

登校準備を終えた海斗が興味津々で近寄った。


「これはね、昭和の時代の写真だよ。今日は『昭和の日』だから、ちょっと懐かしくなってね。」

勝は穏やかに微笑みながらアルバムを指差した。


「昭和の日?それってどんな日?」

海斗が首を傾げると、キッチンで朝食の準備をしていた結衣が答える。


「昭和の日っていうのはね、昭和時代のことを振り返って、今の私たちの生活や未来を考える日なのよ。」


「へぇー、昭和って、どんな感じだったの?」

海斗がさらに目を輝かせると、勝がゆっくりと語り始めた。


「昭和はね、とても激動の時代だった。戦争があったり、その後で一生懸命みんなが働いて日本が復興したり、高度経済成長でみんなが頑張ったり、色々なことがあったんだ。」


ちょうどそこに、姉の愛がリビングへ降りてきて、会話に耳を傾けた。


「私も歴史の授業で習ったよ。でも昭和って、具体的にどんな生活だったの?」


勝は懐かしそうな表情で話を続ける。


「例えばね、テレビは白黒だったし、電話も一家に一台しかなくて、電話が鳴ったら家族みんなが慌てて出たりしたもんだ。車や冷蔵庫、洗濯機なんかが家に来ると、すごく嬉しかったなぁ。」


翔太が新聞を畳みながら加わる。


「俺が子供の頃は昭和の終わりごろだったけど、ゲーム機が出始めたりして、夢中になったなぁ。」


それを聞いて海斗が興奮した様子で言う。


「いいなぁ、昭和って!なんだか楽しそう!僕も昭和に行ってみたい!」


「それは難しいけど、写真を見るだけでも昭和がどんな時代だったかよく分かるぞ。」

勝はアルバムを海斗の前に広げた。


「うわぁ、すごい!これ、全部おじいちゃん?」

そこには若かりし頃の勝と澄江が並び、懐かしい街並みや建物が映っている。


澄江がキッチンから出てきて、その写真を覗き込んだ。


「あら、これ懐かしいわね。昔の家の前じゃない。」


結衣が横から笑顔で話す。


「こうして昔の写真を見ると、時代が変わっても家族で一緒にいるってことは変わらないわね。」


すると、愛がふと思い立ったように言う。


「私、昭和っぽいデザインで、何か作ってみようかな。レトロな感じで、オシャレにできるかも!」


翔太が頷く。


「それは面白いアイデアだな。昭和ってなんか懐かしいけど新鮮だし、デザインにも使いやすそうだ。」


海斗も興奮したように手を挙げた。


「じゃあ、僕は昭和の昆虫図鑑を作ろうかな!昔の昆虫の写真とか使ってさ!」


家族がそのアイデアに大きく頷く中、勝が穏やかに微笑みながら言った。


「昭和の日っていうのは、昔を振り返って学び、今と未来を考える日だ。みんなで一緒にこうして話せるのは、とてもいいことだね。」


結衣が穏やかに頷いた。


「昭和も令和も、家族で笑顔になれることが一番よね。」


愛はスケッチブックを手に取り、海斗も昆虫図鑑を広げて何やら計画を始める。

その姿を見ながら、勝は静かにうなずき、温かな空気が家の中を包んだ。


「時代が変わっても、こうして家族が一緒に楽しんで、学んでいける。それが何よりの幸せだな。」

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