表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/297

3月23日(日):世界気象デー

「ねぇ、今日は世界気象デーって知ってた?」

朝食のテーブルで愛がスマホを眺めながら話し出した。


「世界気象デー?なにそれ、初めて聞いた」

トーストをほおばりながら海斗が興味津々で首を傾げる。


「世界中で気象について考える日よ。気候変動とか地球温暖化とか、大事なことを再確認する日なんだって」

結衣がコーヒーを注ぎつつ穏やかに説明する。


「へぇ~、ちょっと難しそうだけど、大事なテーマだよな」

翔太が新聞を畳んでうなずきながら話に加わる。


澄江も食卓を見回しながら頷いた。

「確かにねぇ、最近の天気はほんと変だものね。急に暑くなったり、急に寒くなったり、体調崩しやすいわ」


「僕、将来昆虫博士になるから、気候が変わると虫が減っちゃって困るよ!」

海斗は真剣な表情で訴える。


その様子を見て勝が微笑んだ。

「その気持ちはいいな、生き物にとって気象は本当に大事だからな」


その時、愛が少し不安そうな表情を浮かべた。

「私、大学で自然環境に関する授業があるらしいんだよね。ちゃんと理解できるかな……」


結衣が愛に優しく声をかける。

「愛ならきっと大丈夫よ。一番大事なのは、まず関心を持つことだからね」


「そうそう。あんまり心配しすぎないで、興味が湧いてくるはずさ」

翔太も穏やかな口調で応援する。


夕方、海斗が庭で何か熱心に観察している姿を勝が見つけた。

「海斗、何をしているんだ?」

勝が盆栽の手入れをしながら問いかける。


「雲の観察をしてるんだよ!学校で習ったんだ。雲の形が天気の変わるサインなんだって」

海斗は真剣な目で空を見上げている。


「素晴らしいな、昔の人はな、雲の形や風の向きで天気を予想したものだよ。自然との付き合い方を学ぶのはいいことだ」

勝が懐かしそうに語る。


リビングでは、愛が大学生活の資料を広げて結衣に相談を始めていた。

「新幹線通学、毎日早起きだし大変かな……最初は特に不安だな」


結衣が優しく励ます。

「最初は誰だって不安になるわよ。でも愛ならきっとすぐに慣れるから。新しい環境に踏み出す勇気が一番大事」


翔太がそこに入ってきて話をつなぐ。

「そうだよ、天気だって晴れの日も雨の日もあるだろ?人生もそれと同じ。どっちも楽しむくらいがちょうどいいんじゃないか?」


「お父さん、珍しくいいこと言うね!」

愛が笑顔を見せ、家族の空気が和らいだ。


夕食時、家族が再び集まった。テーブルには結衣が家庭菜園で育てた野菜を使った料理が並ぶ。

「こうして自然の恵みを食べると、気象の大切さをより感じるわね」

澄江がしみじみと言葉を口にした。


食後、リビングに家族が集まり、勝が静かに物語を語り始める。

「今日は特別な日だからな、気象をテーマにした冒険物語を話そうか」


「やったー!」海斗は大喜び。


「昔々、気象を自由に操る不思議な少年がいてな、その少年は雲を呼び寄せたり、雨を止ませたりできたんだ……」

勝の語る物語に家族全員が引き込まれる。


物語が終わると、愛がそっと言った。

「天気も人生も、結局は変化があるからこそ面白いんだね。不安になるのも、その変化の一部なのかな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ