表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来の彼方へ  作者: 中井田知久
3/26

サチ

どれくらい歩いただろうか? 途中のコンビニエンスストアで傘を買い、僕はあてもなく、歩き続けた。雪がしんしんと降っている。心がその音とともに静かになっていく。少し、落ち着くと、僕はこれからどうしようかと考えていた。新谷元也の家に戻ろうか、もしくは、学生証に書いている清水章弘の家に向かおうか? 大体、清水章弘の家を僕は知らない。とりあえず、新谷の家に電話を掛けよう。僕は、ソフトバンクのスマートフォンをジーンズの左ポケットから取り出して新谷の電話番号に掛けてみる。何回かのコールの後、「ただいま、電話に出ることはできません」との電子音が聞こえる。僕は諦めて、スマートフォンをポケットに直す。ふと、サチのことを思い出す。サチはどうしているだろう。大学の授業は単位を取りおえているから、ないはずだ。アルバイトもない。電話を取り出し、三井佐知の所に電話を掛ける。何回かのコールのあと、サチの声がした。

「もしもし」

なにか、機嫌の悪いような、不思議そうな声が聞こえる。

「あなた、誰?」

僕は、元也だと言う。

「いたずら電話だと切るわよ」

とサチは言った。いたずら電話? 元也だと、もう一度言った。

「元也は死んだのよ」とサチは泣き声で言う。

「死んだ?」

僕が言うと、ガチャと電話は切られた。ツーツーと言う音がして、電話は悲しい音を立てる。僕はやはり死んだのか? サチの声がこだまして、僕は不安を抱いたまま、また歩きだす。僕は何処に行けばいいのか? 雪がちらほらと舞っている。僕は清水の家に行こうと思った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ