現実の世界へと
光の眩さに目がくらんだ。僕はゆっくりと目を開ける。そこは白い雪が降っていた。白い粉雪が静かに舞い降りる。僕は、自分の姿を眺める。先程と同じ服を着ている。青いパーカーとブラックジーンズ。青い目をした彼を思いだす。なにかぼんやりとしていて、、あれこそ夢では無かったかと感じる。でも、妙にくっきりとした輪郭をもって、僕に語りかける。生きるという覚悟ができたということですね。僕は、はっと思い出して、財布から学生証を取り出す。名前は、清水章弘。僕は目を擦り、もう一度見直す。清水章弘。新谷元也ではない。じゃあ、僕は一体誰なんだ。僕は学生証の大学名を見る。青井大学4年生。大学は同じだった。僕は頭が混乱してきて、ふらつく。周りの人が僕をじっと見詰めてくる。皆、傘を差して、雪の中を通勤や通学している。駅が近くにあったので、僕はそこにい駆け込む。公衆トイレがあったので、僕は入って、鏡を見る。僕の顔じゃない。吐き気を催し、大便器にむかって、胃を絞りだすが、吐瀉物はでてこない。まだ吐き気がする。
貴方は別人になっているでしょう。彼の言葉を思い出す。僕は新谷だ。と、何回も言い聞かせるが、段々、それも曖昧になってくる。