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ただの1日  作者: 橙真らた
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 朝陽が昇る。


 カーテンの隙間から射し込む陽光。


 白い壁が照らされ、部屋全体の明度が上がる。


 瞼越しでもわかる。今明るい、と。


 そして、人は目が覚める。


 世の中の多くの人は、こうして朝日に照らされて目が覚めるのだろう。知り合いも、そうでない人も、みんなこうして同じように1日を始めてるのだろう。私も例外ではない。そう考えるだけで、謎の団結感が芽生えたりする。

 ああ、だめだ…まだ寝ぼけてる。夢の余韻が残っていて、意味の分からないことを考えていた。

 スマートフォンの画面を点け、時刻を確認する。明らかに目に悪そうな人工的な光に対して反射的に目を閉じてしまう。なぜかスマートフォンは膝の辺りにあり、探すのに少々時間がかかった。

 時刻は7時45分。普段通りの起床時間。最近は目覚ましをかけずとも、自然とこの時間に目覚めるようになった。


 そしてここで突然、戦いが勃発。起きなきゃいけない自分vs起きたくない自分。勝敗は約2分の激闘の末、「起きなきゃいけない自分」の勝利。強引に起こした体でカーテンを引き、目に優しい自然の光を取り入れる。頑張って起きたんだから誰か褒めてよ、と一人暮らしの誰もいない部屋でぼやく。寝起きの自分の声は、それはそれは間抜けな声であった。


 今日は仕事があるため、とりあえず諸々の身支度を整え、朝食をとる。仕事とは言っても、会社に行く必要はない。私の場合、半分以上はテレワークで済ませている。最近こういうスタイルは増えているらしい。

 準備を終え、仕事用のノートPCを手に取る。充電は昨日しておいたから100%になっているが念のためモバイルバッテリーも持って家を出た。


 徒歩15分くらいで到着したのは、気取った学生や社会人が集うカフェ。テレワークのときはほぼ毎回、ここの一番端にあるカウンター席で仕事用のノートPCをカタカタしてる。

 一番端であることのデメリットは、位置が厨房から遠いため店員さんに注文したものを持ってきてもらうときに少し申し訳ない気持ちになることくらい。


 今日もいつものように端の席につく。苦い飲み物は飲めないから甘めのカフェラテを注文する。待っている間に早速仕事を始める。

 私の勤めてる企業は、この界隈ではホワイト企業と呼ばれてる。給料が特別高いわけではないが、面接はラフで、上司もみんな優しく、テレワークにするか会社への出勤にするかの融通が利くし、残業も少ない。もちろんミーティングとか集まりがある場合は会社へ向かわなければならないが、基本的にはストレスフリーで仕事がでるし、仕事そのものへの嫌悪感はない。

 ただ一つ問題があるとすれば、人と接する機会がないことである。テレワークだとそもそも人と会って話さないし、一人暮らしだから帰っても誰もいない。私がわざわざカフェへ出向いて仕事をしてるのは、家にいても誰もいない寂しさを外に出ることで紛らわしてるだけなのかもしれない。

 じゃあ出勤すればいいじゃないかという意見も出てくるだろう。たしかにそれは正論だが、自宅から会社までの通勤の道がまあ長い。そもそも最寄りの電車の駅までが遠いし、乗り換え多いし。


 そんなこんなで数分キーボードを叩いていると、注文の品が届いた。

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