謎人間の異文化コミュニケーション 1
「今夜は満月、月明かりで周囲は見える。報告によると対象は白い体に翡翠色の模様があるそうだ。見失うなよ」
(なんだあの煙……まさかあれがファロの言ってたアタナリアの兵?ファロには悪いけど起こそう)
「ファロ…起きてくれ……」
少し小声で話す
「んぅ?どしたのマスター?」
「寝起きに悪いが恐らく人間が来た。多分ファロが言ってたやつだ」
そう言うとファロはすぐに目を完全に醒まし
「ふーん、まぁさくっとやってくるかな……あ」
「どうした?」
「そういえばマスターが許可するまで攻撃しないように言ってなかったっけ」
「まぁそうだな、せっかくここに来て初の人間なんだからヒュウマが少し話してみるよ」
ファロは心配そうに見つめる
「大丈夫なの?」
「なんとかなるさ。大体ファロが攻撃されるのだってファロが強くて怖いからだ」
「…………」
「ファロが近くに居ると攻撃してくるかも知れないから隠れててくれ」
「……………分かったよ」
「よし、じゃあ行ってくるよ」
パァァ
「ん?なんか体の奥の方が暖まったような」
「成長したんだね、スキルを取ったりステータスが若干増えたりするよ」
「お、《人間言語翻訳》が増えてる。ご都合主義だな」
「知らない言語かも知れないしそれがなかったら危なかったかもね」
「じゃ、行ってくるよ」
「……頑張ってね」
「おう」
五人+一人の合計六人の兵士が草原を進む
「隊長、何か居ます」
「ここには猪かヌシ位しか基本居ない。攻撃準備をしろ」
少し装備が豪華な一人が指示を出す
「あれは……人間!?」
「なっ!?」
「なんだって!?」
「なぜここに……?」
五人がうろたえる
「人に化けている物かも知れん、警戒しろ」
「あー、聞こえますか?」
「喋ったぞ!」
「どうしますか隊長?」
「私を含む四人で対話を試み、なにかあれば合図を出すから隠れた二人が弓で射抜け」
「了解」
(この世界の初人間コミュニケーションかー…怖いけど頑張るか)