命を吸う花Ⅴ
香織のハッキングが完了し手に入れたデータを見ていた。
「このデータ私のパソコンでも見れますか?」
八谷はどうせ出来るだろうと思いながら香織へ話しかけた。
「大丈夫ですよ!アクセス権を八谷さんのパソコンに入れていつでも見れるようにプログラム組みますね!」
香織は極々当たり前の事の様に八谷へ返答した。
まるで人間がご飯を食べることのような当たり前の事の様に。
「ありがとうございます。それではLANケーブル繋げばいいですか?」
「いやいいですよ!そのままで!」
香織はまた恐ろしいスピードでタイピングを始めた。
新しいプログラムを作っているのだ。
「はい!できました!」
「八谷さん、デスクトップにUPRって言うアイコンがあるのでそれ開いてください!」
香織は八谷のパソコンを指差し八谷の目を見て伝えた。
「え?はぁわかりました。」
八谷は気が抜けたような声を出してしまった。
香織の指差した自分のパソコンへと歩きアイコンをダブルクリックした。
その途端勝手に零課サーバーと言うところに飛びUPRと言うファイルが現れた。
ファイルを開くとさらに多いファイルが多量に表示される、その中で[life flower]と言うファイルが赤く表示されていた。
八谷はそのファイルを開く、大量の研究データが見れるようになった。
「凄いですね、まさかこの短時間でこんなデータが手に入るとは。」
八谷は心の声が漏れてしまう。
「香織さん凄いですね、このデータも香織さんも、そして気になったのですが私たちのパソコンって全部繋がってますか?」
八谷はふと思った疑問を香織へ聞いた。
「繋がってますよ、昨日皆さんが準備してる時に零課のサーバーを作ってここの機器全てそのサーバーの中に入れさせてもらいましたよ?」
「その方がデータの共有も簡単ですし効率的かなって!」
香織は悪気もなく普通に答えた。
「これは下手なことできないですね」
八谷は少しクスッと笑いながら香織にぎりぎり聞こえない声で言った。
「ところで香織、このラビちゃってのはものすごいAIと言うことはわかったんだがなんでウサギの画面でラビちゃんって名前なんだ??」
BOSSは香織がラビちゃんと呼ぶAIについて質問をした。
香織が初めてラビちゃんと読んだときかつての同僚"ラビ"が頭をよぎっていた。
「それはね、もともとウサギが好きだった事もあるんだけど小学1年生の頃ショッピングモールにお母さんと一緒に買い物行った時に逸れちゃって泣いていた私を助けてくれた人がラビって人だったの!」
「その人がすごくカッコよく見えてまた会いたいなぁ〜って思ってて、でも会えなくてだからウサギのAIでラビって名前にしたんだよ!」
香織はBOSSの目を見て昔あった事をとても楽しそうに話した。
「そうかそう言う理由なんだね。」
BOSSは思った、きっと俺の知るラビの事だろうと。
めんどくさがりだが優しい心を持った子供好きの男だった。
心の中に爽やかな風が流れる様な感覚になる。
「それにしても莫大なデータですね。」
「早速見てみます。」
いつの間にか自分のデスクに戻ってパソコンを触っていた福原が呟く。
「では私もデータを見て私なりにまとめてみます。」
「BOSS手伝いお願いします。」
「わかった。」
香織の背後にいた八谷はBOSSをつれ自分のデスクへと歩いて行った。
「じゃあ私は他の研究機関にハッキングして同様に情報収集するねー。」
香織は噛み砕いた飴と同じ飴を口に入れ作業を続けた。