命を吸う花Ⅲ
4月17日10時
全ての準備が整った公安部公安零課初めての朝が来た。
対策室にはメンバー5人がいてそれぞれ円卓テーブルに腰掛けていた。
「さてそれじゃあ我々の初めての任務だがあの"花"についての調査だ。」
「そしてここからは福原に指揮をとってもらう。」
「室長という立場だか、この零課の頭脳は福原に一任する、よろしく頼む。」
BOSSは話を福原に振った。
「はい了解しました、では皆さんBOSSから話があったように私の方で指揮を取らせていただきます、よろしくお願いします。」
福原は席を立ち事前にBOSSから指示を受けていた通り話を続けた。
「まず私たちはあの"花"について調査します。」
「一応あの"花"なんて言うと面倒なのでここでは世間で最も呼ばれている呼び方、"吸血花"と呼びます。」
「吸血花ですが、ルーファス預言のものと見ておそらく間違いないでしょう、現在は人が触れると赤くなると言うことしかないですが今後どのようになるかわかりません。」
「一つのウイルスが流行ると人間が免疫を獲得してそこからの変異ウイルスがどんどん出てくるのと同じような考えです。」
「世界各国の調査機関で調査を進めていますが今の我々には余りにも吸血花のデータが足りません、なので我々も調査を進め原因の究明と対策をします。」
福原は淡々と今後の捜査の内容を説明した。
「そして各々の役割ですが、まず五十嵐さんは吸血花をひたすらにかき集めて対策室へ持ってきてください。」
「香織さんは世界各国の調査機関へハッキングをして情報収集をしてください。ただ必ずばれれないように最善の注意を払ってください、研究機関はデータを盗まれるのを最も嫌いますから。」
「八谷さんはひとまず香織さんの集めた情報の整理をそして情報を元に五十嵐さんの集めた吸血花を使い研究をしてください。」
「BOSSは...八谷さんの手伝いをしてください。」
BOSSのところだけ少し止まった。
専門分野がないBOSSの使い方がわからなかった。
ただBOSSという立ち位置があるため無下にはできない。
幸いにも周りには気付かれなかった。
「わかった!では早速集めてくる!」
五十嵐は対策室の隅っこに転がっていた紙袋を手に取り走って対策室を後にした。
「おっけー!じゃあ早速始めますか!」
香織はその場で伸びをして席を立ち自分のデスクへ座った。
「ではとりあえず私は香織さんの作業でも見物させてもらいますね。」
八谷は福原の方を見て言った。
「誰かに見られるの初めてなんで緊張しますけど、日本一の実力見せてやりますかっ!じゃあまずはアメリカの研究機関にハッキングしていきますね!」
香織は飴を口に入れ気合いを入れた。
福原とBOSSも情報収集が進まないとなにもできないため香織の後ろへつき画面を見ていた。
全員とても興味があった。
「そんなに見られると恥ずかしいんですけど〜」
香織は照れた。
「まぁまぁいいじゃないか、それだけ期待されてるんだよ。」
BOSSも期待していた、世界でも有数のハッカーの腕前を身近で見れるからだ。
「も〜じゃあやるよ!」
香織は照れながらもパソコンの方を向き始めた。
普段は緩い顔をしている香織だがその声と共に顔色が変わる。
「いくよ!ラビちゃん!」
「うん!いくよ香織ちゃん!」
AIのラビちゃんが香織の声に反応して6つのモニターの中の右下のモニター、一面に拡大された。