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リセット:The collapse of the world  作者: 不破いのり
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命を吸う花Ⅱ

零課のメンバー全員の顔合わせから2日後各々が荷物を運び入れていた。

八谷はBOSSに事前に承諾を得ていた1台の手術台と様々な機材を持ってきた。

「この後工事業者がきて1つ部屋を作りますね。無菌室が欲しいので。」

八谷は事前にメールで言っておいた事を再度伝えてメジャーで寸法を測りながら青色のテープを地面に貼っていった。

場所は対策室のモニターの反対側左奥出入り口から1番遠い場所だった。

そして灰色の大きなキャビネットが2つテープの外側、壁に隣接して置かれた。

「BOSS、私はここの席を貰います!」

五十嵐はモニターから見て円卓状のテーブルのすぐ後ろの席に座った。

持ち物は段ボール1つと言う非常に手軽な物だった。

その段ボールは普通の大きさだったがガタイのいい五十嵐が持つと少し小さく見えた。

「では私はここを。」

福原は五十嵐の横、出入り口から遠い方の席に座った。

荷物は手ぶらだった。

対策室に徐に置かれていたパソコンを一台自分の席に置きパソコンのセッティングを始めた。

そして少し立った頃飴を口に入れた若い女が配達業者と共に入ってきた。

香織だ。

「慎重にね!あそこの席の上に置いてください!」

香織は五十嵐の横の席を指差した。

「かしこまりました!」

配達業者2人がハキハキと返事をし丁寧に運ぶ。

「すみません、五十嵐さんちょっと手伝ってもらっていいですか?」

香織はまだまともに話していなかった五十嵐に平然と話しかけた。

「おう!わかった!」

五十嵐は張り切った。

頼られるのは嬉しいのだ。

「ありがとうございます!」

内心香織予想通りの反応でちょろいと思った。

ただいい人と言うのはそれ以上に強く思った。

香織の指示でデスクを2つ縦にして両サイドにくっつけ奥に1つを付け足した。

1人だけやたらと大きい席となった。

そして運び込まれた荷物を開けていった。

中からはディスプレイ6つとデスクトップパソコン本体が3つそれぞれ全てが既製品ではない物だった。

その他にもパソコンの周辺機器が数多く出てきた。

「ごめんなさい五十嵐さんまた手伝ってもらっていいですか?」

飴を舐めながら上目遣いをして言った。

「いいぞ!今度は何を運ぶんだ?」

五十嵐は前倣えのポーズで香織の目を真っ直ぐ見て答えた。

単純だった。

「ありがとうございます!」

香織は五十嵐に指示を出し机の後ろ3箇所にディスプレイを固定する金具を取り付けたりいろんなもの設置をして行った。

「出来たー!」

設置作業を始めてから1時間ほど経ってようやく完成した。

香織から見てディスプレイが6つ横に3つ縦に2つが隣接されて設置されてパソコン本体3つと複雑に接続されている。

マウスが1つなのに対してキーボードが3つとても一人で操作するとは思えない量だった。

「よーしじゃあ起動!」

香織は元気に1つのボタンを押した。

その途端黒いウサギのロゴが6つのディスプレイにそれぞれ表示された。

一人作業に集中していた八谷以外の福原とBOSS、五十嵐が興味本位で香織の背後に立って見ていた。

起動から10秒ほどしてから右下のウサギのロゴが変わり少し違うウサギが出てきた。

「こんにちは香織!今日も頑張ろうね!」

ウサギが喋った。

五十嵐は瞬きのペースが早くなった。

何が起きているか分からなかったからだ。

「凄いですね。これ全部組んだんですか?」

福原は香織に聞いた。

「そうだよ!あかりちゃん!」

香織は福原の方に椅子を回し答えた。

「あかりちゃん?」

福原は少し驚いた。

ちゃん付で呼ばれることなんて小さい時以外なかったから。

驚いた後すぐに頭の中ではなぜいきなり名前呼びなのかと言う疑問に変わった。

「あ、ごめんなさいいきなり名前ってまずかったですか?」

香織はディスプレイに表示されたうさぎとは違う本物の兎のようなか弱い声で言った。

「まぁいいですよ。」

福原は承諾した。

香織のことを思うと承諾せざるを得なかった。

今まで友達があまりいなかった香織、なりより自分より情報戦に置いては強い香織、仲良くしておいて損はない。

「あかりちゃん!ありがと!」

香織はさっきまでの弱気と打って変わり元気に言った。

「香織さん、これ全部2日で組んだんですか?」

興味を持った八谷が質問した。

この質問には福原も興味を持っていた。

「そうですよ!2日夜鍋して全部組みました!」

「でもこの"ラビ"ちゃんだけは既存です!」

聞き耳を立てていたBOSSは目が見開いた。

2日前に話した前回の零課の任務では永井以外の名前は伏せていたはずだからだ。

「このラビちゃんと言うのはAIですよね?」

「AIまで作れるんですか?」

八谷は驚いた、自分より1回り以上若い女の子が自分では頑張っても不可能なことをしているのだ。

「そうそう!中学の時に3年かけて作ったよ!私の声に反応して処理の手伝いをしてくれるの!凄いでしょ!」

香織は自慢気に八谷の方を見て言った。

「またその処理を見せてください、興味があります。」

福原は興味があった。

警視庁のサーバーにハッキングできるレベルのハッカーの腕前を。

「おっけー!任せて!」

香織はまたもや自慢気に答えた。

そして各々再度準備に取りかかった。

福原と香織はパソコンを触り八谷は業者と無菌室を作り五十嵐はBOSSと話をしていた。

18時を回った頃全員の準備が終わった。

「みんな終わったね。」

BOSSが話を切り出した。

「今日は捜査の準備だけの日だから明日から本格的に捜査に取り掛かるね。」

「福原は少し残ってくれ、他は解散だ。」

BOSSはゆっくりみんなが聴こえるように喋った。

そして各々対策室を出た。

「さて、明日から操作を開始するが準備は大丈夫かい?」

福原に語りかけた。

「大丈夫です。」

福原は返答した。


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