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リセット:The collapse of the world  作者: 不破いのり
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警察庁公安部公安零課Ⅰ

BOSSは話した。

隣に座っていた警視総監の早川は現場に到着した時目にした"地獄"を思い出して目を開けなかった。

BOSSの話を聞き香織は青ざめた顔になる。

全身の血が重く足に溜まってしまっている様な感覚に襲われた。

福原と八谷は想像していた通りの話だった為特に変わりはなくただ座っていた。

「なんで一般人も殺さねばならなかったのですか!」

五十嵐がBOSSに大声で問いかけた。

それは問いではあるが問いではなかった。

キレていたのだ。

とても強い正義感のある五十嵐、許せなかった。

前回の零課の捜査官が殉職したことは報告を受けていたが一般人を殺したことは知らなかった。

「そうだよな、許せないよな、お前には。」

BOSSは下を向きながら言った。

「仕方ありません。」

福原が割って入った。

「松本の力がどうであれ失踪した人が急に全員見つかったとしたらどうなりますか?」

「とても情報規制ができる規模ではなくなりますよね?もっと多くの一般人に不信感を抱かせます。情報は日本全域に渡り零課として動いている意味がなくなります。そしてなりより松本の力が死後も継続してしまったそれが結果です。どのみち全員自殺してましたよ。それだったら全員殺してしまってそのまま失踪したことにします。そっちの方が手間が掛らずより良い結果を得られます。」

「50人そこそこの人の命と1億の命世界ともなれば70億人ですどちらが大切ですか?」

福原は作戦の意味を五十嵐に説明し問いかけた。

「だが!」

「だが!それでもその作戦は...」

五十嵐は最初は声が出ただが言葉は出なかった。

理解しているのだ。

どうしようもない事を。

最善の作戦だった。

「福原すまない、ありがとう。」

BOSSは福原に軽く頭を下げた。

「五十嵐、お前の言いたいことはよくわかる。

必ずこの話をしたらお前がそうなることはわかっていた。だから、新しいこのチーム五十嵐お前を入れたんだ。」

警視総監の早川は五十嵐を見て言った。

「生前永井君から言われてたんだよ。」

「もし私が死んだら五十嵐をメンバーに加えてくれと。」

五十嵐と永井は同期だった。

お互いとても強い正義感を持ちお互いに切磋琢磨していた。

ただ五十嵐は優しすぎた。

綺麗で雲一つない誰もが幸せになれる正義を求めていた。

どんな酷い状況だろうと全てを救おうとする五十嵐。

全てを救うにあたり少量の犠牲は厭わない永井。

そんな全てを救うなんて綺麗事できないと永井は考えていたが少し羨ましかった、尊敬していた、信頼していた。

永井はできなかった事を五十嵐ならできると信じて早川に話していたのだ。

そしてもう誰も犠牲者を出さない零課を組織する為に。

五十嵐ならどんな状況でも諦めないそしてそれをやり切れるだけのパワーがあると。

「お前なら前回の様な過ちは絶対にしないだろう?」

「永井君から聞いている、お前の強い正義感と根性を、前回の過ちをもう二度と起こさないようにするに。」

早川は五十嵐に期待の眼差しで言った。

「だそうですよ?五十嵐さん。」

福原は五十嵐を見ながら言った。

「私は言ってしまえば永井さんの思考と同じです。」

「少量の犠牲で全てが解決するのであればそれでいいと思っています。だから総監とBOSSは私たちを纏めただと思います。誰も犠牲にしないと決め込む五十嵐さんと犠牲も厭わないと考えてしまう私、解決の天秤を五十嵐さんに傾けて作戦を立案すれば綺麗に解決ができると言う訳です。」

「ですよね?BOSS。」

最後だけはBOSSを見て話した。

淡々としていた、理解はしていた、ただ同時に考える”犠牲なしに掴める平和などない”と。

それは先人たちが証明しているではないか、大きな戦争があり多くの人が死にようやく今があるのだと。

「流石、できる部下を持つと辛いねぇ」

BOSSはぼやいた。

「ごめんBOSSトイレどこ?..」

香織は限界だったずっと我慢してたが吐き気が止まらなかった。

BOSSは絶対に死なせない、私の役目はバックアップのみと言ってくれたが万が一現場に出たら、どうしても現場に出なければいけなかったり、自分が殺めなかったとしてもその光景を見なければいけなかったり、ゲームだけの世界ではない、そんな事を想像したら無性に吐き気がした。

「トイレならあそこに..」

BOSSはモニターの反対側を指差し言ったが間に合わなかった。

ゆっくりと席を立ったところで戻してしまった。

「うえー」

香織は4つんばいになりお昼に食べたハンバーガーが出てしまった。

「大丈夫か!」

五十嵐が心配して背中を優しくさすった。

「香織にはきつい内容だったなごめんね。」

BOSSは香織の方へ歩いて行き方に手を置いて優しく声をかけた。

まるで孫を相手にする様に。

「さて重い話も終わった事だし、少し休憩してからまた話を進めるか。」

BOSSは立ち上がり全員の方を向き言った。


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