宗教団体急襲作戦Ⅱ
公安零課対策室
各々装備の確認をしていた。
サイレンサーを付けたハンドガン1本にマガジン6個。
ラビと冨田以外のメンバーは右腿にホルスターを装着し左腿にマガジンを装着した。
ラビは両腿にホルスターを装備し腰にマガジンを装着する。
2丁拳銃スタイルだ。
冨田はスナイパーライフルを手に取りサイトを覗き込み確認して大きなケースにしまった。
そして全員が同じ灰色のコートを着て準備が完了した。
時刻は18時
「ここから倉庫までは何分かかる?」
湯川が半田へ質問をした。
「ここからだと車で40分ほどです!」
事前に調べていた半田答える。
「分かった。じゃあコーヒーをみんなで飲んでから行こうか」
湯川は皆んなに向かいリラックスした雰囲気で言った。
そしてこれが人生最後のコーヒーになるとは誰も思いもしなかった。
作戦もそれなりにこなし皆慣れてきた頃だった。
コーヒーを各々のマグカップに入れ円卓テーブルに座り英気を養っていた。
18時30分湯川がコーヒーを飲み終えたところで席を立ちゆったりとした顔から緊張した顔へ変わる。
「さて行こうか」
湯川の少し低くなった声が零課対策室内で僅かに響いた。
「はい!」
湯川を除く4人の零課のメンバーが同時に答える。
各々手荷物を持ち零課専用の黒いSUVに全員が乗り込み倉庫へ向かった。
道中では予報通りの雨がぽつぽつと降っていた。
19時30分倉庫から1キロほど離れたところに車を止めた。
宗教団体の信者に見つからない為だ。
10分ほど歩いた所で宗教団体の拠点の倉庫が見えた。
「皆、無線の確認を。」
湯川が全員に向け確認をとった。
「大丈夫です!」
「オッケー」
「問題ありません」
「大丈夫だ」
言葉に一体感はなかったが無線には問題なかった。
「それではここからは各々配置についてくれ。」
「着いたら無線で報告を頼む。」
「では散開!」
湯川は皆に指示を出した。
零課のメンバーはそれぞれ自分の持ち場へ走って向かった。
19時55分全員の配置が済んだ。
北側正面に湯川、東側にラビ、南側裏口に永井、西側に半田、北側正面後方に冨田。
すっかりあたりが暗く倉庫から漏れる光のみがあたりを照らしていた。
「少し早いがこのまま急襲する。」
「いつも通り3カウントで突入する行くぞ。」
湯川が無線を使い指示を出した。
「3.2.1」
全員の無線に湯川の声が入る。
0のカウントの前に正面のドアがドカンと爆発した。
湯川が付けた爆薬が爆発したからだ。
作戦内容は正面からの爆発で信者たちの注意を一気に引きつけ他の3方向からの銃撃で人数を削る作戦だ。
正面後方にはスナイパーの名手冨田がいる為取り逃しはしない。
半田、ラビ、湯川が信者をハンドガンで撃ち抜き倉庫の中は血で塗れ白い装束を纏った信者たちの体は撃ち抜かれた箇所から血が滲み赤く染まっていった。
その光景は地獄そのものだった。
「おいおいちょっと多くないかい?20人そこらじゃないぞ?」
ラビは余裕を持たせつつ無線でぼやいた。
「きっと失踪届が出されなかった人たちでしょう。計算外ですが弾薬もありますし文句を言わないでください。」
永井はいつものラビのめんどくさがりに反応する。
倉庫内の正面は全て片付いた所で半田、ラビが合流した。
「ラビと合流しました。」
「松本らしき人物は確認できてません。南側に向かいます。」
半田は無線で全員に報告した。
「了解した。」
「俺も取り逃がしの無いように確認しながら向かう。」
湯川は半田の無線に反応するのと共に指揮をとる。
「松本発見!」
「正面に向かいます!」
永井からの無線が入った。
そして全員の顔に緊張が走った。
「そのまま挟め!」
湯川が無線がなくとも聞こえるぐらいの大きさで叫ぶ。
次に聞こえてきたのはラビの鈍い声と銃声だった。
「うっ」
「ラビどうした!」
湯川が無線に怒鳴った。
「永井さんどうして...」
半田の動揺した声が無線に響いた。