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鉄仮面さんが俺だけに笑みを零す。  作者: なんじゅ
一章 出会って2日で同棲
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俺と私の『本音』1



どうも、僕は夏目そら!ピッチピチの高校1年生!

え?今、俺がなにしてるかって?


何ばかなこと聞いてんだよ?

前の話で話してんだろ?


…全く仕方ねぇな!説明し直してやるよ!


今、俺は学校の絶対アイドル鉄仮面の美少女事、九条芽衣と二人並んで

晩飯の買い出しのため、俺、行きつけの商店街に行ってきた帰りである。


いやー怖かった、商店街の顔馴染みの大人達が俺ら二人を見ると声も掛けず、只々微笑んでいる

だけなのだから 。いつもは誰か一言二言、買っていけよ、そら!とかサービスっすから寄ってけとか

陽気な店員さん方々がだ。


みんなが、息子の功績を見る親の様な、慈愛の表情で眺めながら見守っていてくれた。


すごくむず痒かった。もっとさぁこう、お!彼女か!?とか言われたら…違う!って言い返せる物を…

黙認するだけして…変な誤解を絶対生んだなとか思いながら帰っていた最中である。


その間、行き帰り彼女とは他愛の無い話をしていた。


昨日は結局、彼女は泣き疲れて寝てしまったので…

その聞けなかった時間を取り戻すかの様にゆっくりと、じっくりと。



何の歌が好きかとか


TVはなんの番組が好きかとか


映画わ好きかとか


高校は楽しめそうかとか


なんの食べ物、料理が好きか


味付け、濃さわ?とか



彼女は意外にもお喋りには積極的で、楽しかった。てっきり無口な方かと思ったんだけど…


俺らは話を聞く側、聞かれる側をお互い入れ替えて…


彼女にとって差し支えない範囲の話題で二人の帰り道を色付けていった。












家の玄関を開けて、買い物袋をキッチンの上にに置いた。

後は彼女の出番だ。俺は一言彼女のに断って、リビングに戻る。


「では先生のお言葉に甘えます頼みました」


「うむ、任された」


やっとまともに話が出来る様になり、少しは距離が縮まった。そんな気がして微笑んだ。

彼女は未だ無表情のままだが、どことなく嬉しそうだった。


二人揃って軽口を言って、彼女が俺がいつも使っているエプロンを装備し出した。


紺色一色の無地エプロンの筈なのに、彼女がが学生服の上からそれを着ると、もうなんと言うか俺が

着ててごめんなさいとエプロンに謝りたくなる。


そう思わせるほど彼女は似合っていたのだから。


今では思う…そのせいだろう、いや、絶対そのせいだ…


俺はエプロン姿で料理し出した九条を眺めながめていた、5分ほど立って彼女が俺に気づき

恥ずかしかったのか、ジト目で俺を見てきた。

ただその目からは恥ずかしいんですけど?と…決して嫌ってわけじゃないって事は

俺は分かってた、それが妙にいじらしく、可愛らしくって自分の顔がだらし無くにやけ、頬が熱くなるのが

分かって… 我に帰った 自分の顔を両手で覆い逃げるようにキッチンから出ていった。


(お嫁に行けなーい!なんてっ)






「…ふふっ……あっ…」






恥じらうように逃げた俺を見ていた九条が極小の声に出して

笑っていたのを俺は知る由もなかった。













「うめぇ!!!」


彼女が作った料理に舌鼓を打ち俺は言い放った。


(なんだこれ!なんだこれ!めっちゃうまいぞ!この太刀魚の煮付け!)


魚屋で太刀魚の選んだ時の彼女に対して渋いなぁ。なんて他人事のような感想をしてたけど…

マジでなんなんだこれ、俺や父さんが作る煮付けでは比べ物にならないほどで繊細で

考え尽くされてて、俺の好みに合わせてか濃い目の味付けの筈なのに、人に出す理想的な味だ。至極だ。


「ほっ…よかったぁ」


俺がものすごい勢いで食べて、うまいと感想を言ったからだろう。

彼女は安堵のため息を吐いた後、自分の分のご飯に手をつけた。勿論、箸でだ。













「ご馳走様!いや!九条さんの煮付け半端なく美味かった!あとな!…」


完食後、二人で食器を片付けて、九条がついでくれたらあったかいお茶を二人ですする。

俺が九条が作ってくれた煮付けに対して興奮冷める事がなく熱弁を彼女にしていると…

正座し頬を薄っすら朱色に染めた九条が俯いていた顔を挙げ、挙手し出した。




「?……はいどうぞ、九条くん」




「……真剣な話良いですか?」





そう言った彼女の雰囲気を察し、「うん」と答えた。





「…………夏目くんは、優しすぎます…」





唐突に、そう言ってきた彼女の目にはいつ溢れてもおかしくなさそうなほど涙が溜まっていた…





「……そう?」




俺はなんとなくだったけど…優しい言葉を選び…紡ぎ…微笑んで彼女の目を真っ直ぐ見て答えた。




「…なんでそんな…俺は無害だからみたいな…顔して私に構うんです…か?」




違う…君が言いたい事はそんな事じゃ無い筈だ…必死に泣くのを耐える彼女が

辛くて苦しんでいる表情で分かってしまう。




「どうせ…身体…目的とかで…しょう…?男の人って…いつもそんな事…ばかりで…」




「…違うよ」




「……なにが…違うんですか…こんな見ず知らずの女が…馬鹿みたいな事言ってって…思っているくせに」




「違うよ…目の前で見ていたぞ?お前が怯えてたの」




「……別に怯えてなんて…」




「お前が嘘をつくな」




「…………」




苦虫を噛み殺したかの様な苦悶の表情の彼女の対して

はぁ、と俺はわざとらしく聞こえる様に、ため息を吐き

目の前の頑固で怖がりな子供の両肩を優しく掴む。

真剣な顔で彼女の目を見て自然に俺の本音を語った。




「ワイがさ、あん男を許してもさ、絶対オイはアイツ許さんけんな…」



あぁ、そうだこれが俺の本音だ、 もうあんな思いは嫌なのだ…

それが素知らぬ男でも、女でも関係ない。

無意識に怒った衝動でついついナマってしまったので大きく深呼吸して

彼女の肩に置いていた手を引き向き直る。


ちょっと怯えてさせてしまったみたいだ。




「えっとだな…何を言いたかって言うとお前が、誰に何を頼んで絶望してきたのか、知らないけどさ…

気安くは言えないんだけど…お…俺に頼んだからには大船に乗ったつもりで待ってなよ…

もう手は打ってんだ…だから…うん…心配すんな絶対だ、絶対にお前をあんな環境なんかに

置いてやらねぇから…絶対助けるから、待ってろ…」




んー、熱と恥じらいが入ってぶっきら棒に言ってしまった…。わ…分かってくれただろうか?。




最後の方で顔を背けてしまい彼女の顔は見えないでいる…




チラッとと彼女の顔を覗き見る…と…








貯めることが出来なくなったんだろう涙が流れていた。

顔は呆けてた驚きを隠せないっと言った表情。


何をそんな驚くことが…と思ったが彼女は不安だったんだろう。




一人で耐え、容姿のせいで裏切られ打ちのめされた以上誰にも頼れなたった3年と

普通の女の子が歩むには長すぎる地獄の日々。





それを思うと胸が痛み張り裂けてしまいそうになる。

なんでこの子が…って、こんな心優し子が…って





「よく俺を頼ってくれた。偉いぞ」




そう言って笑顔で優しく彼女の頭を撫でた。




すると…









「…ありがとう…本…当に…」











そう言って九条は、呆けていた顔から一変…花が咲いた様に微笑み涙を流した。








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