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42/42

42、新しい始まり


「ホランドさんは魔物に操られて脅されていたんです!それで情報を流していたんです。だから無実です!」


「ええ!ホランドが。で今どこに?」


「ケイト様とどこかに。」


「おい。」


ゴードン様は不機嫌そうに目を細めて俺を見る。タイムも同じ目で俺を見てくる。父様は微笑んでいるだけで何も言わない。


「ゴードンもういいじゃないか。とにかくホランドは無実という事で。」


父様がゴードン様を宥めるように言う。


「それはいいんだよ!それよりケイトと会わせてくれ!」


ゴードン様が必死に言うが分からないものは分からない。


「うーんそれは私にはどうにも。」


「くそーホランドの馬鹿め!僕は義兄さんなんて認めなーい!」


タイムは膝から崩れ落ち床を殴っている。


「それよりも私は怒っているよウィンター。」


父様が珍しく本当に怒っている様子。笑っているのが余計に怖い。


「よくも1人で行ったね!それについて話し合おうかウィンター。」


「えっ?」


と同時にズルズルと引きずられていく。父様まだこんな力があったんだぁーと意味の分からない事を考えながら談話室まで引きずられた。






海の近くの市場に寄って食べ物や飲み物をたくさん買い込みあの海の別荘に着いた。2人で荷物を両手に持ってダイニングの上に4袋、紙袋を置いて中から果物と紅茶を取り出してホランドが紅茶をいれてくれる。私はホランドに甘えてあの海の見える位置に置いてあるソファに座って海を眺める。


「ケイト紅茶だ。」


頭の上から優しい声が降り注ぐ。そのまま紅茶を受け取った。ホランドが隣に座り同じように海を眺めている。


「私ねたくさん人を傷付けた。1番傷付けたのはきっとホランドあなたなの、あなたが辛い時に気付かず王子に同情して一緒に居てあげようとしてしまってた。たくさん遠回りもして分からない知らない事だらけで。」


「ああ。でも俺も言わなかったから。王子と違って俺は言葉にしないから。」


「さっき言った事気にしてる?」


「してないよ。事実だから。」


「私達もっと話さなくちゃいけないわね。」


私は紅茶を暖炉の上に置いてソファに戻り寝転んでホランドの太ももに頭を置いた。ホランドは気にする事もなく少しズレて私がちゃんと寝転べるような体勢にしてくれる。


「俺もちゃんと言葉にするよ。」


「ええ私も。」


「ケイトにはずっと笑っていてほしい俺の隣で。」


「ええ、ありがとう。」


「でこれからどうするんだ?妖精の国に行くのか?それとも王都へ?」


ホランドが照れたのか急に話題を変える。何だかその姿が可愛くてたまらない。


「そうなのよね。できれば王都にはもう戻りたくないかなぁ。でも妖精の国の女王は私には務まらないわだって妖精の国を知らないし。だからそうねまた旅に出ようかな。私お爺様から旅の日記の全てを受け継いでいるのだからあれを実家から持ってきてお爺様が行った同じ場所に行きたいわあなたとそれ以外の場所にも2人で。」


「いいな、魔法が戻ってきたから転移も自由自在だ。」


少しだけ悲しい表情で言う。両親と関係を戻すというのは今になって無理なのかもしれない。


「そう魔法が良かった。本当に良かった。全て奪ってしまったから。」


「あれは俺が決めた事だから気にするな。」


ホランドが私のおでこの髪を分けて遊びながら話す。


「ここは本当に素敵な場所ね。」


私は身体を起こして周りを見回す。海が見えて安心できる空間。


「ここを見つけるのに何件家を見てまわったか。何十軒かな?」


「ふふありがとう。私ねホランドと一緒に居ると幸せなのだから本当に愛してるのがホランドだと分かった。あなたが幸せな場所を作ってくれるから、だから気付いた本当にありがとう。」


「そう思ってくれるなら嬉しい。さあ夕食にしよう作るよ。」


また照れたように話を変える。やはり愛しくてたまらなかった。


「ええ手伝うわ。」




それからギルドに所属しながらお金を稼ぎ数年後子供が産まれてからはあの海の家で過ごしました。子供は大きくなると私達と同じ騎士学校へ入学し立派に卒業し私が目指した近衛兵の中から選ばれる優秀な騎士となり国を支えました。

ウィンター王子は立派な王となり民に支持され民に愛される王となりました。いつも傍でウィンター王子を支えたのは宰相となったタイムです。タイムは常に目を配り嘘を見破る能力は大変、王の仕事を助けました。

父上は宰相を辞めた後少しずつ旅に出るようになりました。温泉に出かけたり母上と一緒に花を見に出かけたり最近、妖精の国行ったという話を母上から聞きました。

王は退任した後サマー王子に色んな事を教えました。初歩的な勉強や政治についてサマー王子は昔と違いちゃんと勉強してその楽しさを知り学校の先生になりました。



「ケイト夜は冷えるぞもう中に入った方がいい。」


プールサイドにある椅子で夕陽が沈むのを見ているといつの間にか夕陽は沈み辺りは暗くなり星が出ていた。確かに肌寒い。


「じゃあ抱っこ。」


そう言って手を伸ばす。ホランドが面倒そうにこちらまで歩いてくる。


「抱っこ。」


近付いてきたのでもう一度言うとホランドが笑って手を引っ張り私を立たせる。


「ほら行くぞ。」


「ひどーい。前は抱っこしてくれたのに。」


「あーもう分かった。」


とホランドが言うと私を抱き上げて運んでくれる。どうして今まで気が付かなかったのだろう。この人は本当に本当に私に甘い、何をしても怒らないし何でもしてくれるし本当に優しい。一緒に過ごし年数を重ねる内に、その瞬間、瞬間に愛する気持ちが強まっていく。

ホランドの首に腕を巻き付けると思い出してしまうあの時本当にホランドを失わなくて良かった。一度失ったから2度目は絶対にないと心に誓う。


「ホランドずっと一緒にいようね。」


「ああ。」



「「愛してる。」」


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