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41、種明かし


ここはホランドのお屋敷の庭。懐かしい遊んだ後いつもこの庭でおやつを食べて昼寝をしたなぁ。


「うるせえガキだな!」


急に男の叫ぶ声が聞こえる。そちらを見ると小さな私が倒れていてその前に私を必死に庇う小さなホランド。


「なあ僕、力がほしいか?その目の前の馬鹿を倒せる力が。」


小さなホランドの横に今と変わらないライムが現れた。男には見えていないようだった。


「ほしい!ケイトを守る力が!」


ホランドは力の限り叫んだ。光に包まれて全て消えてしまう。


「これが発端。ここで私が素直に死んでいれば。」


「ケイト、ケイト。」


目の前にホランドが現れる。


「ケイトが死ななくて良かった。過去も現在もお前を助ける事ができて本当に良かった。俺は幸せだったよ。お前を助ける事ができた。」


眩しい光が穏やかな笑顔のホランドを包む瞬きをして目の前に居たのはホランドではなくライムだった。


「だから褒美をやろうお前に。さあ目を開けろ。大丈夫、目を開けても辛い状況では無いから安心して目を開けろ。」


辛い状況では無い?炎は全てを飲み込んだのに?


「さあ勇気を出して目を開けろ。」


私はそっと目を開けた。



「眩しい。」


眩しい?あんなに暗かったのに?


「ケイト目を覚ましたのか?」


「ホランド?」


目をしっかりと開けると目の前には大きな影を作る少しだけ心配そうな顔のホランドが居た。思わず抱き締める。


「どうして?どうして?ホランドが?」


「分からないが生きている。それに周りを見ろ。」


「周り?」


そういえば荒れ果てた土地ではなくなっている。太陽は顔を出し地面には花や草木が生い茂っている。


「天国?やっぱり死んだのでは?」


「馬鹿な事を言うな。ライムから話を聞くといい。俺もお前もあいつにまんまと騙されたようだ。魔物共も役者だな。」


「え?」


「さあ行こうか。」


穏やかな笑顔のホランドがそっとお姫様抱っこをしてくる。


「ちょっとおろして!」


「嫌だな。もう俺はお前から離れない。」


ニコニコとホランドが嬉しそうに笑う。ホランドが嬉しいならもういいか。

結局そのままの体勢で城に入った。


「おお、ケイト目が覚めたか!」


ライム?顔は一緒だが瞳は緑で身長も小さく?


「小さい?」


「ああ、妖精に戻ったからな。皆そうだ。」


「皆?」


周りを見ると確かに小さい?それに魔物ではない気がする?


「ああ、お前の炎のおかげで皆妖精に戻った。土地も全て後で湖も見てくるといい。」


「?」


?…何が何だか?


「簡単に言うとお前の炎で闇を浄化したんだ。妖精の国に闇が現れて荒れ果てた土地に変え妖精を魔物に変えた。」


「闇を?」


「まずお前は妖精の国の王の子だ。生まれた時に能力を占う婆が炎の話を王にした。その怒りにより生み出す炎というのが忌み嫌われて封じられた。その次の年に闇が現れた。そこでまたその婆に聞いたらケイトの炎で打ち払えると言い出した。」


「え?私の炎?」


「ああ、でも封じてしまったし、そもそもあの炎は怒りでしか生み出せない。赤ん坊のお前が怒る事なんて…そもそもあの時点では無理な話だった。闇が侵食してきて荒地になり殆どが魔物になり次は城だとなった時、何度かシーナを訪れていたお前のお爺殿にお前を任せ王は闇をシーナだけに留める魔法を命を対価にしてかけた。お前にシーナの未来を託した。」


「何故?その話を素直にしてくれなかったの?私ちゃんと協力したのに。」


「そこが難儀な話だ、お前の力は封印された上に炎を生み出すのに強い怒りが必要なんだ。本当に強い怒りが。その為に小さな頃からお前と接触を図り支えながらホランドに闇を少し植え付けた。ホランドの闇が育てば育つ程ケイトの怒りや絶望が強くなるだろう。闇の始まりはあの時からだからな。でもそのホランドの闇もお前の炎が全て燃やし尽くしたからもう大丈夫だ。」


「良かった。」


「すまなかった本当に。お前達2人には幼い頃からすまない事をした。後お前は魔物を殺していないよ。あれは全て俺が作り出した人形のようなものだ。1度目は砂に変わったろさすがに怪しまれるかと思って、2度目は血が出るように作った。」


「ライム。殴ってもいい?」


「やめて、妖精はか弱いから。」


「ケイトやめなさい。」


ホランドが優しく笑う。子供の頃と同じ優しい笑顔だった。懐かしいこの笑顔。


「さあケイト、君はこの国の王、この国の後継者だ。」


「……母はどこに?」


「王妃は城を守る為に命を落とされた。民の最後の砦、避難所の為に。それも叶わず妖精は全て魔物になってしまったが城がそのままあるのは王妃のおかげだ。」


「そう。」


「ああ、女王様どうなさいますか?」


「ライム。貴方に譲るわ。これから優秀な者が王になればいい、身分や性別関係なく。」


「そんな、皆ケイトを待っていたのに。」


「そうですよケイト様、そして私と結婚して2つの国を2人で治めましょう。」


この声は?振り向くとウィンター王子が笑って立っていた。近衛兵の制服ではなく王族の礼服を着ている。


「ウィンター王子!身体は大丈夫ですか?」


「ええそこの方がとんでもない魔法を打ってきたので身体中が痛いですが大丈夫です。ケイト様が傍に居てくれればもっと早く治ります。」


でた捨て犬の表情。そういえば私は誰相手でもこの同情を誘う表情に弱かった。意志を強く持ち言う。

ホランドは少し呆れながら笑っている。


「すみません。王子にそういう気持ちはありません。はっきりと分かったんです。今は全てクリアーに見えています。」


「あははははでも僕まだ諦めません。ちゃんと好きですから。」


「ふふふ私も王子の言葉をちゃんとくれるところ好きです。」


「ええじゃあまた。」


「ええじゃあ。」


「さようならホランドさん。」


「ええさようならウィンター王子。」


ウィンター王子が転移で行ってしまった。ライムにまたすぐに顔を出すようにと言われたので2日後にと約束をして一旦2人であの海の家に帰った。



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