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ショートショート4月~

悲劇

作者: たかさば

春の終わりの雨は、少しだけ冷たくて心地良い。


仕事を終えて、家路につく私の耳には、ぱら、ぱら、ぱらと、傘に弾かれる、心地よい音色が聞こえてくる。


この心地よい音色の、不均衡な旋律は、私の頭の中と、絶妙に、結びつく。


頭の中の、さまざまな記憶。

頭の中の、さまざまな感情。

頭の中の、さまざまな願い。

頭の中の、さまざまな思い。

頭の中の、さまざまな、何か。


雑多に詰め込まれている、頭の中に眠るそういうものを、私の頭の中の言葉が、雨音の旋律と結びつき、一つ、二つと物語を紡ぎだす。


今日は、帰り道で、三つの物語が、生まれた。


生まれたての物語は、とても脆弱で、手をかけてあげないと、言葉の重さで、つぶれてしまう。


何度も何度も、目をかけて、何度も何度も、言葉を変えて。


何度も生まれ変わって、時には結末さえも、変えてしまう。


けれども、今日生まれた、この物語を、私は、忘れることは、ない。


春の雨の心地よい旋律と共に生まれた、この物語たちの、誕生日の姿。


不恰好だった生まれたての物語が、雄渾な物語へと成長する過程に、心が、震える。


どう変わってゆくのだろう。


どう変わらずにゆくのだろう。


期待と共に、少しの不安をふわりとのせて、言葉を繋いで、思いを籠める。


この先にある、私の知らない私の物語に、憧憬の念を抱いて、我が家の玄関の、ドアを開けた。




「おかえりー!!今日の晩御飯、何?!」


「ただいま。」


今日のばんごはんかぁ・・・。

何にしようかな。

そういえば、卵がいっぱい買ってあったな、よし、親子丼にしよう!


・・・。


親子、どん・・・?


・・・!!!


親子丼に!!


全部持っていかれた!!!


せっかくの天下取れそうなアイデアがああああああああああああ!!!



この世から、ものすごい物語の可能性が、三つも、消えた。


消えちゃったんだよぉおおおおおおおおおお!!!!!



良くある話(。>д<)

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