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十二人兄妹

 ─────さて、あるとき、王様がお妃様に向かって言いました。


「今度生まれる子供が、もし女の子だったら、十二人の男の子はみんな殺してしまおう。そうしてその女の子の財産がたくさんになって、この国がその子ひとりだけのものになるようにしてやろう」────



 冒頭からクライマックス。


 十二人連続で男子が生まれ続けた王様が、末娘欲しさにとち狂ったことを言い出し十二の棺を作らせます。


 嘆き悲しむ妃ですが、末っ子ベンジャミンに心配され、ありのまま話しますと、知恵者ベンジャミンは「城に掲げる旗の色で子供の性別知らせてね、妹が生まれたら僕達逃げるから」と誓います。


 殺される前に兄弟は逃げ出し、高い木に登って城を毎日見張ります。


男児が産まれれば白い旗を掲げるので戻ってきてもよい、女児が生まれたら赤い旗を掲げるとのことでしたが、残念ながら生まれた子は女の子。


兄弟達は「女の子一人のためにこういうことになるなら、女の子を見つけしだい、片っ端から赤い血を流させてやる!」と復讐を決意。


森の奥にある魔法の小屋に居着きます。



 十年間、何不自由なく暮らしていた末姫は、偶然お揃いの男の子の着物十二着を見つけ、問いただすうちに、兄の存在を知ります。


 お姫様は証拠品のシャツを荷物に森を一日歩くと、割と早めに魔法の家に到着し、ベンジャミンと兄妹の抱擁を交わします。


 兄たちは妹姫を恨んでいたのですが、ベンジャミンのとりなしもあり、また姫が優しく可愛い子でしたので無事和解しました。


そのまま仲良く暮らすのですが、ある日妹が「なんか庭に百合が十二本生えてたからお兄様のために摘んでおこ!」と、庭の百合採ったら十二人兄弟がカラスになって逃走。


 すると、家の前に謎のおばあさんが出現し、その百合は十二人の兄達だったこと、魔法を解くには七年間口をきかず、笑ってもいけないとのことを説明します。


 末姫はそんな無理難題を解く覚悟をして、数年を糸を紡いでやり過ごすのですが、偶然通りかかったとある国の王様に見初められ結婚。


ところが笑わず喋らずの末姫は悪い噂を立てられ魔女疑惑で死刑になってしまいます。


 火刑に処され、後少しで焼け死ぬというときになんとか七年が過ぎ、カラスが飛来して火を消し、人間の姿に戻ったところでハッピーエンド。




 十二人兄弟の末っ子ベンジャミンが妙に女らしいというかなんというか。


 この物語、主人公は末姫、王子や姫に秘密をリークするのはお妃様、呪いの解き方を教えるのは謎のおばあさん、姫を死刑にしようとあることないこと言い立てるのは王様の母親と、女主体的の物語なのです。



 その中で末の王子ベンジャミンは、お妃様にせがんで自分たちが殺されようとしてることに気付きます。

末姫発見したのもこの子。


 この子は、魔法の家で他の兄弟達に「力が弱いお前は家の中の仕事をおやり」って家事を申しつけられるのです。


 兄さん達がくるみや鹿を取ってきて、ベンジャミンが料理する。他の童話なら女の子がすることをみんなベンジャミンがやってるんです。


 いち早く妹に会い、女の子への憎しみで「会った女の子は皆殺し」とか言う兄さん達を制して「家の中にいる子はどんな子でも殺さないって約束して!」と末姫に会わせるのもベンジャミンで、魔法の家では末姫と協力して家事をする。



 兄弟を止められたのも、なんだか「女役」であった故かもしれません。

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