猫と鼠の一緒の暮らし
「いまこそ、わたしにも、よっくわかったわ。すっかりわけがのみこめてよ。あなたはたいへんなおともだちだったのね。なにもかもきれいに食べちまってさ。名付け親になるなんていっちゃっあ食べて、はじめは上皮をなめ、それから半分ぺろりとやって、そのつぎには……」
正直、これはひどいという感想しかない作品。
猫と鼠が一緒に暮らしてる前提のブラックユーモアたっぷりなお話です。
「猫と鼠とお友達」という題名で記されてることもあります。
まず、猫と鼠が知り合いになりました。この時点で、まあ、オチは読めますけれども。
猫は鼠を可愛がって仲良くしてあげる!と言いくるめ、同居を承知させます。
冬に備えて、二匹はヘット(料理用の牛の脂肪。いわゆる牛脂)を用意しますが、隠し場所に難儀します。
結局教会の祭壇下にしまっておきますが、食いしん坊の猫はヘットの食べたさに「おばさんのむすこの名付け親の仕事を頼まれたから」と嘘の理由で教会へ向かい、はじめはヘットの表面に張ってる上皮を、次は半分をぺろぺろ舐め、最後に全部ぺろりと食べてしまいます。
その間鼠は部屋を綺麗にして待っている。
架空の子猫に毎回、上皮なめ、半分ぺろり、全部ぺろりと名前をつけたことにするのですが、「そんな名前人名簿にだって載ってないわ!」と怪しむ鼠。
冬にとうとうヘットの壺が空であるとばれてしまい、怒る鼠を猫が食べてしまう。
そして、「いいですか、世の中ってこんなものですよ」と締める、なんだかあんまりにもなオチ。
そんなどうしようもなさもグリム童話の醍醐味です。
しかし、ファンタジー度は少ないですが、灰かぶりや白雪姫よりは余程現実味のある教訓が含まれているのも確か。
ヤバい人と付き合うと破滅するってことですね。
面白いのは、悪い猫は三匹の子猫の名付け親を騙ったわけですが、一匹めは白と茶色のぶち、二匹めは首のまわりに白い輪がぐるりとしている柄、三匹めは足だけ白い黒猫で、数年に一度しか生まれない子猫、とやたら詳しく説明するんです。
妙に詳しく説明して信じさせようとするっていうのは詐欺師の常套手段なのかもしれないです。
ちなみに猫のいう鼠の容姿?は「鼠色の毛の上着を着込み、長い毛をお下げにして(!?)家のなかにひっこんで年がら年中くよくよして昼間外に出ない」とのこと。
かなり擬人化されてます。
猫と鼠を擬人化すると確実にDV夫婦です。
嘘を言ってへそくりを使い込むろくでもない男に騙される妻って感じですね。いつの時代にもあるんでしょうかこのような関係。
日本でも、猫が行灯の油を舐めるとかいいますが、ヨーロッパの猫も油が好きなようです。
また、このような騙す動物と騙される動物の話は世界中に類型があり、狼と狐、狐と鶏、犬と狼など様々あります。
何故わざわざ教会に油を隠したか、というのも考察の余地があるお話です。