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6話・マジックアイテム


「ごめんね、堊亜が迷惑かけたみたいで」

「迷惑ってなんだよ。ひとくち頂戴って言っただけだぞ~!」


堊亜はプンプンと頬を膨らませ怒る。


「ねえ、堊亜。身も知らない人物、まして男からいきなり

そんな事を言われて、困らない女性がいる訳ないよね?」


ぷくーと怒っている堊亜の額を人差し指でトン···と軽く小突く。


「うう···でも、食べたいんだもん······あ、そうだっ!」


堊亜はポンっと拳で手のひらを叩く。

何か思い付いた顔で、紗季から少し離れて、

可愛いポーズを取り、こう口にする。


「ボクの名前は神代堊亜(かみしろあくあ)

年齢は16才。Aクラスの生徒です。後、彼女募集中だよ♪」


堊亜はピースサインをした手を前に出し、

満面の笑みを浮かべている。


「ねね、それで君の名前は?」

「えっ?」

「だから、君のな・ま・え・だよ♪」


堊亜はニコニコとした顔で紗季に聞く。


「わ、私は星乃紗季(ほしのさき)クラスはFです···」


堊亜の迫力に負け、つい自己紹介をしてしまう。


「ほ~ら、これでお互い名前を知ってる仲♪

だから、ひとくち頂戴~♪」

「一昨日来やがれです!」


私は即座に断りの言葉を吐く。


「洸の嘘つき!知り合いになったのに断られたぞ!」


洸と呼ばれた生徒に堊亜がさっきより頬を膨らませ、

腕をブンブンと上下に振り、怒っている。

やれやれと、洸は溜め息を吐き、申し訳なさそうな顔で

こちらに近づいてくる。


「え~と、星乃さんでいいのかな?僕は鳥飼洸(とりかいこう)

クラスは堊亜と同じA。あ、僕も一応、彼女は募集中だよ♪」


紗季に向け、優しいボイスで

その中に冗談も含めた自己紹介をしてきた。


「それでお願いがあるんだけど、対価を払うからさ、

堊亜にひとくち···分けて貰えないかな?」

「対価?」

「うん、これなんだけど···どうかな?」


そう言うと洸はポケットからごそごそと

何か小さな箱を取り出し、パカッと蓋を開ける。

中には、綺麗なビー玉くらいの球体が入っていた。


「綺麗ですね、それは何なんです?」

「マジックアイテムは知ってるよね?」

「はい。神の魔力が込められた物で、様々な恩恵を受けると

言われるものですよね?···はっ!まさか、それがっ?」

「正解、これは身体能力を上げ底する

マジックアイテム、【強化カプセル】だよ」


「はう、身体能力を上げるっ!」




【強化カプセル】


これを食べると未限界値の身体能力が

ランダム数で少し上がる。


その値が多い程、その振り幅が多い。

ただし、その者に未限界値がないと効果はない。

一回使うと無くなる消費物。



 

「で、どうかな?これはそのデザートのひとくち分になるかな?」


何を言ってらっしゃるのかしらこの人。

それが本物なら、対価どころか突き抜けていますけど。


「い、いや···流石にその対価は···」

「これじゃ···ダメかい?じゃあ、これも付けるから!」


そう言って再びポケットに手を入れ、何か取り出す。


「これは素早さを少し上げるマジックアイテムの

【疾風の髪止め】って言うんだけど···」


広げた手には、天使の翼を模写し真ん中には緑色の綺麗な

宝玉があしらっている髪止めがあった。




【疾風の髪止め】


頭装備品。

素早さが少し上がる。

ミスリル製のレアアイテム。

装備登録有り。


『装備登録有り』とは、装備すると自動登録され、

以降、登録者以外がそのアイテムを

装備しようとしても拒絶される。


ちなみに装備登録は自由に解除できる。




「···だから、お願い星乃さん」


済まなさそうにしている洸を見て紗季は思う。

ツァ!ち、違うんです!違うんです!

対価はもう越えている、いや、突き抜けているんです!

でも、衝撃が強すぎて声が出ないだけなんです!


心臓が聞いた事のない音で鳴っている。

これ以上は心臓がヤバイので、もうタダでもいいかなぁと、

そぉ~とプリンアラモードを洸の前に付き出す。


「いいの?ありがとう。じゃあ、星乃さんこれをどうぞ!」


洸は喜び勇んで、紗季にアイテムを手渡す。


「ほら、堊亜。ちゃ~んと星乃さんにお礼を言って食べるんだぞ!」

「うん!ありがとう紗季ちゃん、いっただきま~す♪」

「全部食べちゃダメだぞ。ひとくちだけだからね」

「うん、わかってるって···パク!」


プリンアラモードをひとくち食べた瞬間、

堊亜の口から喜色の声が洩れる。


「はわわ~何、この口の中を駆ける美味しさ!

もうひとくち···後もうひとくち食べたい~!」


堊亜はおかわりを切望する瞳で紗季に視線を向ける。


「こら、堊亜~!さっきの約束!」


洸は目を細め、約束を破ろうとする堊亜に

苦言の言葉を言う。


「じゃあさ、じゃあさ、ボクもこれあげるから、

ねね、いいでしょう!紗季ちゃん!」


堊亜は洸の言葉に焦りながら、紗季に何か指輪らしき物を渡す。


「それはね、魔法を打ち出す時、少し威力を上げてくれる

マジックアイテム【銀の指輪】なんだ。中々便利だよ♪」


堊亜が、銀の指輪をテーブルにトンと置く。

その指輪は銀で出来ていて、真ん中に漆黒に近い黒色の宝玉が

埋め込まれている。




【銀の指輪】


アクセサリー装備品。

装備した手で放つ魔法の威力が少し上がる。

純正のシルバー物。

装備登録有り。




「はうッ!」

また何か、凄そうなアイテムがっ! 

心臓と心が限界を突破です······もう好きに食べて···。

諦めに近い気持ちで、どうぞと言わんばかりに手のひらを

相手に向ける。


「やったっ!じゃあ、遠慮なく···パク♪

おお、やっぱりうま~い!」


堊亜はひとくち食べると、目がうるうるとし

上機嫌な表情で頬を落としている。


「あ~美味しかった。紗季ちゃん、ご馳走様です♪」

「我儘を聞いてくれて本当にありがとう。

星乃さんのおかげで、堊亜もご機嫌になったよ」

「あ、いえいえ······」

「騒がしい僕らはこの辺で退場させてもらうから、

後はゆっくり食べてね」


そう言うと紗季に洸と堊亜は手を振り、食堂から去って行った。





誤字脱字、修正しても修正しても

次々と現れる···。

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