表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/44

19話・女子生徒の談笑


ふう、昨日は酷い目にあったな···。


成美ちゃんの勘違いも何とか無事に解けたし···今日こそ平穏な生活をおくるぞ!

私は小さな微笑みを浮かべ拳をグッと握る。


ピ~ン~ポ~ン~♪


「お、来たみたい。さて···行きますか···」



場所は、早朝の特訓場···。



朝の特訓も終わり、休憩室にあるシャワー室でシャワーを浴びた後、

濡れた髪をいつもの魔法で乾かし、私は成美ちゃんの待つ休憩室に戻る。


「今日も特訓疲れたね、紗季ちゃん···」

「うん、成美ちゃんも特訓お疲れ様···」


疲れた体をお互いの言葉で労りながら、2人で談笑する。


「昨日はゴメンね!私の心に眠る羨望と嫉妬の本能が

つい、雄叫びをあげちゃって···へへ」

「はは···本当、無事に勘違いが解けて良かったよ···」


いや~マジで、成美ちゃんの勘違いを解く方が朝の特訓より何十倍も

キツかったからなぁ···。でも、ごめんね成美ちゃん···。


正確に言うとその勘違い···半分だけなんだ。結局あの後、

今里君にアーンしちゃったし···それに間接キッスも···。


まあ、流石にこんなイベント、この年齢でドキマキは

全然しなかったけどね···本当だよ。


「それより、今里君···だっけ?どんな人物なの?」

「さあ?」

「さあって、もしかして何も会話らしい事していないの!?」

「いや···したよ。会話は」

「へえ、紗季ちゃんもやるね。で、どんな会話をしたの?」

「どんな会話って···甘味の事で盛り上がったとか···かな?」


いや~今里君、中々の良い甘味情報を持ってたよなぁ···。

まさか、あんな場所にあの甘味様が隠れているなんて、

本当ビックリな発見だったよ!


「へ?甘味···それだけ?他は、他はどんな事を話したの!」

「他にねぇ···他は何か話したっけ?」


私が思い出せず首を傾け考えていると成美ちゃんが目を丸くして

こちらをジト目で見てくる。


「ええ!?甘味の事しか話していないの!」

「うんまあ、でも···他に聞く事なんて特になかったし···」

「聞く事が無い訳ないでしょうが!あんなイケメンさんに!」


成美はタンっとテーブルを叩き、紗季の顔の前に人差し指をピッと付き出す。

紗季は頬を少し膨らませ成美に聞き返す。


「じ、じゃあ···どんな会話をすれば良かったの?」

「色々あるじゃない!例えば···何の魔法を使えるかとか、実家はどことか、

家族は何人とか、どんなタイプが好みかとか、恋人はいるかとか、いないなら

好きな人はいるのかとか、ほら···聞く事がいっぱいじゃない!」

「ほら···じゃないよ!初めて話す人にそんなプライベートな事、聞ける訳ないでしょう!」

「ち、つまらん」


成美は聞こえない様に小さな舌打ちをし、紗季をジト目で見る。


「ちょ、成美ちゃん!昨日、あんなに私に怨嗟の念を向けてきた同じ人物とは

思えない態度だよそれ!」

「あれはあれ、今は今よ!」

「はは···これは酷い···」


成美ちゃんの理不尽な言葉に、私は静かに嘆息を洩らす。



学園廊下···。



「お待たせ藍川君。じゃ、教室に行こうか♪」

「お前達···いつも遅いが、休憩室で一体何をしているんだ···?」

「何って、普通に世間話のお喋りをかな?」

「人を待たせておいて、普通に世間話って···

何十分も待たされている俺の身になってくれよ···」


藍川は待たされ過ぎて、表情から疲れが見えるのがわかるくらい

肩を落としてこちらを見る。


「え、何を言ってるの藍川君?女子のお喋りとして、この程度の時間くらいじゃ、

時間経過カウントは取られないんだぞ?」

「カウントは取られないって···このチームには『男子』もいるって事を···

忘れていませんかね···?」

「そっか、そうだよね···ごめん藍川君、全然気が付かないで···

今度から気を付けるから···本当にごめんね藍川君!」


私は藍川君の台詞に悪気もない言葉で返す。

藍川はその紗季の言葉に吐露を呟く。

その会話を聞いた成美が落胆し、申し訳ない顔で謝る。


「い、いや···そんな顔するな!俺も言い過ぎた!

それに女子のお喋りタイムくらい、気長に待てないようじゃ男が廃るよな、

うんうん!だ、だから···気にするな、緑原!」


はは···藍川君、速攻で自分の意見を覆したな···流石、惚れた弱みは

何とやらか···だね。


「さ、さあ···みんな揃った事だし、教室に急ごうぜ!」


話を切り上げたい藍川は慌てて教室を指を差し、

わき目も振らず走っていく···。


「こら、廊下は走っちゃ駄目だよ~!もう、しょうがないな。

紗季ちゃん、私達も行こうか!」


成美は藍川に注意の言葉を投げ掛け、紗季に微笑んでくる。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ