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陰の実力者になりたくて! 作者:あかさたな
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ハイヒールとワンピースと白い脚

 夜の王都を二つの影が駆けていた。

 黒い衣を纏った彼らは、背後を気にしながら細い路地に入り足を止める。

 かなり急いでいたのだろう。壁に手付いて荒い息を整えている。

 彼らの息づかいだけが、しばらく暗い路地に響いた。

 と、その時。

 カツ、と。

 路地の奥から音がした。

 彼らは素早く振り返り、暗闇の奥を見据える。

 闇の中から、黒い何かが近づいて来た。

 カツ、カツ、と。

 それはブーツを鳴らして歩いてくる。

 黒ずくめの二人が警戒し剣を構えた、その瞬間。

 男の頭に漆黒の刀が生えた。

 それは何の前触れもなく、唐突に、男の頭を貫通した。

「アッ、アッ……アガッ……!」

 漆黒の刀が引き抜かれて、男は断末魔と血飛沫と共に倒れた。

「……ッ!」

 残った男が慌てて距離を取ると、暗闇の中から一人の男が姿を表した。

 その男は漆黒のロングコートを身に纏い、漆黒の刀を携えて、奇術師の仮面で顔を隠していた。

「待たせたか……?」

 低く、地の底から響くような声で彼は言った。

「ひっ……」

 黒ずくめの男は引きつった声と共に後ずさる。

「何故そう恐れる」

 彼は言った。

「まさか……逃げられるとでも思っていたのか?」

 黒ずくめ男は反転し駆け出した。

 しかし。

「なッ!?」

「お見事です、シャドウ様」

 振り返った先に、女が一人立っていた。ミニワンピースを着た上品な美人だ。

「これほど早く確保されるとは、流石です」

「ニューか」

「はい」

 二人は男を挟んで話す。

 挟まれた男は壁を背に狼狽えた。

「後は私共にお任せ下さい。情報を引き出します」

 彼は漆黒の刀を収め、

「……抜かるなよ」

「はっ」

 そのまま踵を返し闇の中に消えた。

 美女は頭を垂れてそれを見送った。

 細い路地に黒ずくめの男と美女が残った。

 男が完全武装なのに対し、美女はワンピースにハイヒール姿で、武器も持っていない。

 男の判断は速かった。

 素早く剣を薙ぎ、丸腰の美女を斬り殺す。

 その……はずだった。

 ワンピースが捲れ上がり、白く艶かしい脚が闇を切り裂いた。

 カラン、と。

 男の剣が石畳に落ちた。

 遅れて、男の指が八本、剣の横に落ちた。

「あ、アァッ……!」

 指を拾おうとしたのか、それとも剣を拾おうとしたのか。

 男は親指だけになった手を伸ばす。

 しかしその手をハイヒールが踏み抜いた。

「いぎッ……!」

 ハイヒールの先に、漆黒の刃が生えていた。

 指から流れ出た血が石畳に広がっていく。

「私はシャドウ様ほど優しくない」

 冷たい声が降ってきた。

 男が見上げると、そこに凍えるほど鋭利な眼があった。

「楽に死ねると思うなよ」

 ワンピースの裾が舞い上がり、白い膝が男の顎を打ち抜いた。





 翌朝、王都の大通りに凄惨な死体が吊された。

 四肢を切断され、頭部に十数本のナイフが突き刺さったその死体の腹には、血で文字が書かれていた。

『愚者の末路』

 死体の顔は苦痛と恐怖に歪んでいた。
体調がやばい時のアレです。
今回は短いですがご容赦ください。
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