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黒の骸の話
少年は赤い線をただ眺める
そして言うのさ
白から赤へと移り変わった
その言葉を
ただただ赤いとそのことを
でもそれは昔のことさ
遠くも近くもない昔のことさ
どれだけ経ったか
少年は繰り返すこともできなくなっていた
白いという感想も
赤いという感想も
そして描くことも
今の少年は骸のように
死体のようにただただそこにいる
逃げるように蠢くでもなく
自分の状況に嘆きもせず
ただただ少年は壁を見る
四角い四角い部屋の壁
白い白いただの壁
そこにあるのは赤い線
〝多分死ぬまで見るんだな〟
そんなことを少年は心の内に秘めていた
心の底で分かっていた
でも恐怖はないんだ
そんなのは枯れ果てていたから
ただ死ぬのは嫌だなと少年は言う
なぜ嫌なのか
そんなことを暇潰しに考えた
〝あぁ…赤い線を見たいんだ〟
と当たり前のように辿り着く
それが異常なのだと気づくもなく
それは違うと分かるでもなく
少年はそこに佇み線を見る
〝死ぬまで見よう〟と
考えて嬉しげに顔を歪めて
線を見る
ただただ赤いその線を
そして少年は世界の壊れる音を聴く




