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異世界代表、転生吸血姫。  作者: 熊猫パンダ
第1章 幼年期~青年期
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第5話 披露会

「まさか、これをイヴが?」


私はまだ本格的に魔術の教育を始めていない。


簡単に魔力の扱いについては教えたつもりだけれど、魔力を変化させ、属性を生じさせるまでの教育などした記憶が無い。


自分で学んだ?本で?誰かに教えてもらって?


9人いる私の夫の中で魔術に長けているのはデブラ、エトバール、ブラス、イーデンの4人だけれど彼らにも教育しろなど言ってないし、むしろ私がしたいからするなって言ってたわよ・・・?


まさか勝手に教えて・・・!?


許せないわ、イヴの成長の抜け駆けするだなんて・・・!




「あんた達全員、起きなさ~~い!!!」



朝起きて食堂に行くと、父様方が眠そうにしていた。


「おはようございます、ブラス父様?眠そうですけど、昨日寝てないんですか?」


「んお、おはよーイヴ。いや、寝てたんだけどサ・・・」


「俺たちがお前の教育を勝手に進めたってリヴィアナが拗ねて全員2時ぐらいにたたき起こされてずっと説教されてたんだよ・・・ぁぁ眠い。こんな日には地下室に籠って呪術を開発しよう・・・」


普段から目の下に濃いクマを作っているデブラ父様だが、今日は一層濃く見える。


てゆーか、教育って何のことだ?


「おはようイヴ、もう魔術が使えるのか?凄いな!天才か!?」


大きな声で元気に挨拶をしたのち、わしゃわしゃと俺の頭を撫でるアイマ―父様。


イルレイ父様とこの人だけが元気だ。イルレイは岩の民という特殊な種族で睡眠がほぼ必要無いからわかるが、普通の人間のアイマ―はなぜこんなに元気なんだ・・・。


母が来ると、さらに食堂の雰囲気がズンと重くなった。


俯いていて顔がよく見えないが、ふざけられる空気でないのはわかる・・・



「話がある」


「・・・っ!!」


元魔王直属親衛隊の姿を見たことは無いが、そう聞いて疑いもしないのはこの圧倒的な重圧(プレッシャー)のおかげだ・・・!


料理を用意していたメイドが腰を抜かし、食器がカタカタと揺れているような気までさせる程に。

相当訓練された人間でなければそうなってしまうのも仕方ないだろう。

前世の俺ならば腰を抜かすどころか、泡を吹いて失神していそうだ・・・



「イヴちゃん?これ、貴方の魔術よね?」


恐る恐る母の手元を見ると、俺が昨夜生成した霙を持っていた。


「・・・はい・・・。」


やばいっ!!目が合わせられないっ!!てか、どうやってそれ保存してんだよ・・・!?

実の母ながら、その実力の底が未知数すぎる・・・!!


「氷。魔術で作るには、水魔術の相当な鍛錬が必要よ?私が氷を十分に扱えるようになったのは20歳の頃だったかしら・・・?一体、誰に教えて貰ったのかしら?正直に、教えてほしいわ。」


上達すれば水魔術だけで氷を作れるようになるのか・・・!!

というか、なんでこんなにリヴィアナは怒ってるんだ?俺がもっとやらかしてることがばれて怒ってるのかと思った。


「いいえ、お母様!誰にも教えられていません!自分で考えましたっ」


そういうと、母は


「そう・・・誰と内緒で練習したのかしら・・・?水魔術が得意なのは・・・」


「イヤイヤイヤ!!リヴィアナさん!?ボク教えてねーヨ!?」


一気に周囲から疑いの目を向けられるブラス。


この家で人に教えられるほど水属性の魔術に長けているのは、水魔術師ブラスしかいない。

このままではブラス父様がリヴィアナの激メンヘラの被害者になってしまう・・・!!


「待ってくださいお母様!どうしたら自分で考えたという証拠になりますか!?」


「ぐすっぐすっ・・・証拠ですって・・・?それなら、この場で氷を生成してあなたの言葉で術式と方法を説明して見せて・・・」


「わかりました!任せてくださいっ!!」


ドンと胸を張って応える。


「頼むよ~・・・!イヴ・・・」


とは言ったものの、昨夜開発した方法で氷を生成するなら広い場所で、天井が無いという条件がいるな。


「皆様、ここで作るのも難です、屋外でやりましょう!」



「それでは、()の氷魔術の作り方を皆様に披露します!!」


「どうぞ?・・・1人称は、私ね?」


母に何度も言われるが、これは俺に残された唯一の自分が男であることの証明なのだ。母には悪いがここだけは譲れない。


水球(ウォーター・ボール)」「火球(ファイア・ボール)


昨夜の手順をこなして氷の生成を目指す。



後は霧を冷却すれば・・・!


ボトボトッ


「「おぉっ!!」」


「まだ小さいし操作もできないけど・・・これが俺の発明した氷の作り方ですっ!!どうですか母様!!」


「・・・すご~~~い!!天才!!やっぱり私の娘は天才なのよ!!あなたたち見た!?ファイアーボールとウォーターボールを爆発させ霧を発生させてそれを空の冷たさを利用して雪の要領で氷の礫を作るだなんて・・・!!さっすが、私の娘ね~~~!!あ、1人称は、俺じゃないわよね?」


これでもダメだったらブラスは犠牲になるしかないと思っていたが、どうやら大丈夫そうだ。


持ち上げられ、抱き締められている。


「うっ・・・息ができなっ・・・!!」


「あら、ごめんなさいね!!うふふ」


膂力とその豊満な山々に首元を押しつぶされて呼吸が塞がれて死にかけた・・・。



コソ練の成果は実ったようだ。あれが最後でも悪くない最期だったと思う。




皆が館に戻り遅めの朝食に戻った後、ブラスだけがその場に戻りイヴが生成した氷の礫を手に取る。


「いくらリヴィアナとボクたちの娘だからって、7歳の子供が独学で四大属性のうち三つを同時展開するだけでなくその体積・質量・形状全て操作して水蒸気爆発の原理まで頭で理解して実行してるってゆーの?・・・ははっ、神童って言われたボクからしても末恐ろしい才能だネ・・・」

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