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異世界代表、転生吸血姫。  作者: 熊猫パンダ
第2章 王都ルルガゼ
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第21話 相対

ベルーナの発表が終わり、残ったのは俺だけになってしまった。


正直この魔術を使うのは初めてで、考案して丁度準備時間が終わったからぶっつけ本番になってしまった。


「最後の発表となります。志願者イヴさん、よろしくお願いします!」


個人発表(こっち)の担当官は試験担当官というよりも発表会の司会者のように立ち振る舞っている。


先程のベルーナのお菓子配りのせいで、人がかなり集まって来てしまった。


「あー、よろしくお願いします...!それでは、早速始めます」




魔力のベクトルを遙か上空へと向ける。


特大(エクストラ・)水球(ウォーター・ボール)


上空に凡そ直径20m程の水球を創り出す。


今の俺が安定して操れる最大級の水球だ。


試験会場に大きな陰が生まれ、それに気づいた観客達が慌て出す。


「お、おい!!あれを見ろ!隕石だ!あの試験者を止めろ!大規模なテロを行う気だぞ!気を付けるんだ、あれだけ大きな魔法、周囲に協力者がいるぞ!」


ざわつき出す観客達。上空にある為、太陽の逆光のせいで大きな黒い球体にしか見えない。しかし、流石にギルドの幹部達だ。市民達と違い止めるようとはしない。


しかし、驚いているのは市民達と同じだった。

何故なら、彼らは彼女が小さな湖のような大きさの水を1人で何処からかかき集めて作っているのではなく自分の魔力で創り出し、浮かべている事が分かっていたから。

あの大きな水の隕石がそのまま彼女の絶大な魔力量と魔力を操作する力をよく表していた。


「「な...!?」」


「あ、あれをどうすると言うんだ!?」


種火(シーヅ)!」


特大水球の中に向かって爆発する火の種を発射する。

その種には俺特製の特殊な加工が施されており、一定速度以上に達するとヒュゥゥーというような甲高い音が鳴るように設定してある。


ボシュッという音と共にその種が特大水球の中に到着し、俺の合図(魔力)を待つ。


準備は万端だ。


「終わりか...?」


「いえ、終わりではありません。これからです。今回俺が発表させていただくのは、きっと皆様が見た事ないものです。どうか楽しんでくれっ!」


上手く行ってくれよ...っ!


爆火(プロージョン)っ!!」


俺が魔力を火種に込めると、小さな超高温の爆発が連続し、100℃に至った水が中から気体へと蒸発、水蒸気爆発の連鎖が生じ出す。


はるか空中で爆発した水はまるで花火のように大きな音を何度も立てながら霧散する。今やその体積は不規則な爆発の為実際には異なるが、単純計算で20mの約1700倍、直径にして34kmにもなる程の大規模な霧になった。


しかもこの霧には隅々まで俺の魔力が行き渡っている。

34kmの大魔術だ。


「な、なんという事だ...!空一面、あの少女の魔力で覆い隠されてしまった...!」


集中しすぎて気づかなかったが、ベルーナみたいに拍手喝采が起きている様子が無かった。

...まずい、こんなに頑張ったのに滑ったか...?

ええい、ならもう一押しだ。


この国、ルルガジナ王国には俺の元いた日本の北海道では考えられない事がある。


...まあこの世界に来てそんな事ばっかりだけど。

四季が無いのだ。年中夏。


だから防寒のために長袖を着ている者は見たことが無い。みんなオシャレか防具としてだ。寒いから衣服の面積を大きくするという文化が無い。


因みにそれはこの世界全てでの話ではなく、地域によっては四季がある国もあれば、年中冬の国もあるみたい。

俺は夏派の人間だからこの国に生まれてよかったね。年中冬なんて、病んじまう自信があるぜ。


まあつまりは、この国の人間は()を見たことが無いわけだ。


そして今空には大量の俺の魔力が行き届いた霧。

絶好のサプライズチャンスではないか。


氷結(フリーズ)!!」


空1面の霧を一斉に状態変化させ、氷の粒へと変貌させる。

小さな小さな氷の粒は、風に乗り、お互いをくっつけ合い形を得る。


そして地面に至るまでに溶けずに残った氷。


雪の完成だ。


「パパ、これ!」


「ああ、これが前に話したことのある雪っていう氷だよ。あぁ、まさか生きてる間に見る事が出来るなんて...!」


予想通り、受けたみたいだ。ホッとした...


審査員達の方を見てみると、先程の怪訝そうな顔からは変わったものの、まるで信じられないものでも見ているかのような顔をしていた。


口に出さないから、わかんねぇ〜...!


「以上で俺の発表を終わります!使用した魔術は、水球(ウォーター・ボール)種火(シーヅ)爆火(プロージョン)氷結(フリーズ)です!ありがとうございましたぁ!」


ポカンと口を開けたままの審査員。

な、なにか不味いことでも言っただろうか...?


すると、魔力判定試験での担当官、ベンノが審査員達に何かを伝える。するとそれを聞いた審査員は皆同様に「はぁ...」とため息をついた後、不思議と納得したように頷いた。


「えー・・・実に素晴らしい発表だった。・・・済まない、余りの感動に感想が出ない。実は私も雪を見るのはこれが初めてでな・・・ありがとう。」


涙を流しながら感想を述べる審査員の一人。

なんとか成功したようだ。良かった!




「ぐ・・・っ!!」


「『堅牢(ロバスト)』志願者イデオン、諦めろ。この単純な無属性魔術でさえ、嫌、だからこそ。君は魔力を使えないんだろう?だから君は勝てない。冒険者になれば試験とは違う。分かっている筈だ。お前は戦士にはなれない。命を無駄にするのはやめろ。」


「ハァ・・・!ハァ・・・!!試合中だろう・・・!?口を慎んだらどうだ・・・!!」


「・・・そうだな。これ以上来るならば、お前のこれからの人生のため、性が無い。手足の一本二本切り落としてでも、お前の命を救おう・・・!」


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