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異世界代表、転生吸血姫。  作者: 熊猫パンダ
第2章 王都ルルガゼ
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第20話 実技発表

何を発表しようかな。

幸い内容を考える為に時間が少し与えられた。


個人技披露の方はやはり人が少ない。観客も、実際に参加する者も。

そりゃあ対人戦の方が見ていて面白いだろう。俺が観客だったら間違いなく対人戦の方が気になるね。


こっちに比べあっち、対人戦の方はまるでスタジアムのような大きな会場の中から、怒号と歓声がさっきから鳴り止まない。もうあっちは試験が始まっているみたいだ。


「ねぇ、あなたさっきの試験で3位だった子よね?武術の型でも披露するの?」


参加者の一人が俺に話しかけてきた。俺を前線担当の人間だと勘違いしているみたいだ。


「いえ、俺は魔術で行こうと思ってるよ。こう見えて魔術の方が得意なんだ!」


ぐっと腕に力こぶを作ろうとするが、全くできない。

昔から鍛錬するほど筋力が上がっている感じはするのだが、中々筋肥大がしないのだ。

そう考えればリヴィアナも伝説のバーサーカーなどと呼ばれる割に、その実際は妖艶な女性そのものだった。


これもヴァンパイアという種族の特徴なんだろうか。


「こう見えて・・・というか、そう見えるけど。でも、魔力を使えない体力測定で3位だったのに魔術のほうが得意だなんて・・・恐ろしいわね。よろしく、私はベルーナ。私も魔術で発表するつもりよ。」


「おー!そうなのか!・・・だけど今、内容を悩んでるんだよ。どんな発表にするんだ?」


「全部は不利になっちゃうから教えられないけど・・・そうね。私の売りの繊細な魔力操作をできるだけ良く見せられるように頑張るわ。」


売り、か・・・


俺の売りってなんだろう?

武術よりは魔術の方が良いよな。

魔術の中では、氷魔術がずっと伸ばし続けてきた物だ。氷が良い。

さっきの魔力試験での事故、あれはどうやら俺の魔力量の多さが原因だったみたいだから、それも売りになるか。


「なあ、発表の範囲ってあの壇上の上限定か?」


担当官に聞くとこの試験会場全体の中で、他の試験に影響を及ぼさないなら構わないと教えてくれた。


じゃ、あれにしよう。



「今回の勝者はぁぁ・・・!!またまた志願者、イデオォン!!ここまでただの一撃も食らっていません!」


額にじわっと流れる汗を拭い深く相手に礼をするイデオン。

しかしその相手は地面に倒れ、気絶していた。


「なんだあの新人・・・!?今何をしたのか全く分からなかったぞ?」


「ああ、気づいたら相手が吹っ飛んでいやがった・・・」


ステージを降段し控室に戻るイデオン。

傷どころか、衣服には目立った汚れすら見当たらない。


「あの、回復魔法は・・・」


「いえ、大丈夫です。他の方のために魔力を温存しておいて下さい。」


(か、かっこいいー!!あくまでもこの人、無傷で決勝まで上がるつもりなんだわ!)


イデオンはイヴにも見劣らないほどの整った容姿を持っている。

その綺麗な目鼻立ちから想像できぬ程鍛錬され尽くした肉体は、それだけで世の女性の心を射止めるのに十分だった。


「準決勝・・・次の相手は担当官か。」


「はい!担当官のアドー様は本当に強いです。彼との試合で良い結果を残すか勝ち上がることが出来ればこの技能試験での最高判定となります。・・・ですが、度々アドー様は志望者達の冒険者としての人生を終わらせてしまいます・・・回復魔法で、治癒しきれないほどの大怪我を負わせる事があるんです。ですから、ここで棄権する方も多いのですが・・・イデオン様は、本当に準決勝に進むんですか?」


進むのか、だって?馬鹿なことを言うんじゃない。


「当たり前です。僕は、もう二度と逃げない。」


後悔と責任感の狭間で、イデオンは確かな決意を胸に秘めていた。




「はぁっ!!」


ベルーナの発表内容は、土魔術で創った土人形(ゴーレム)に料理をさせるという単純明快かつ見ていて飽きない物。


まず、ゴーレムを創る事自体かなり精密な魔力操作が必要で、センスと努力を問われる。また、創ることとそれを操る事はまた別の能力が必要なのだ。

エンジニアが創ったシステムを最も活用するのが上手いのは本人とは限らないのと同じだ。


それをベルーナは両立させ、審査員、そして観客たちにゴーレムたちが焼き上げたクッキーを振る舞う。


「貴女もどうぞ!」


「ありがとう!...んまー...」


サクッと軽い食感に噛めば噛むほど広がる甘み、何個でも食べたくなるヤツだ...くー、お茶かコーヒー、ミルク辺りが欲しくなるぜ。


「はい、これもご一緒に!」


まるで俺の心の声が聞こえていたかのように挽きたてのコーヒーが俺の前に出てくる。ブラックは無理なのだが、なんと

シュガーとミルクまで付属していた。


土魔法で造られた厨房をよく見ると、コーヒーもゴーレム達の手によって挽かれていた。


「おお、これはなんと薫り高い...!」


観客や裕福そうな舌の肥えた審査員にも大好評みたいだ。

これは高判定が約束されたようなものだな。


「これで私の発表は以上になります!使用した魔術は土魔術、土人創造(ゴーレム)クレイウォール(粘土壁)による建造です!ありがとうございました!」


丁寧にも発表内容を振り返り説明するベルーナ。

礼も美しく、良い好感度を得られただろう。


退場後に会場には拍手喝采が沸き起こった。

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