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異世界代表、転生吸血姫。  作者: 熊猫パンダ
第1章 幼年期~青年期
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第10話 ボスゴブリン

「う・・・」


ゴブリン二体を討伐しただけだというのにどっと疲れてしまった・・・。


討伐後、ぐちゃぐちゃになったそれをいてもたってもいられず、埋葬した。

俺が殺したのに弔うだなんて皮肉な話だ。


毎回毎回こんなことをしていたらきりがない。慣れないと・・・



光球を先に進め過ぎないように配置し、敵がいたら息を潜め、圧縮した水で頭を一撃で貫く。

この繰り返しで安定して進めるようになってきた。


痛みもなく同時に殺すことが出来れば、悲しむことも痛みを感じさせることもしなくて済むだろう。

目標は死んだことに気づかないままに殺すことだ。




(随分と回りくどい事するわね・・・?)


リヴィアナは、娘の万が一のために気配を完全に消したまま尾行してきていたのだが、イヴはそれに気づくほど心に余裕が無かった。



母の考えではゴブリンの洞窟はすぐに攻略するだろうと、次の場所まで考えてあったのだが。意外に苦戦しているらしい。それもどうやら実力の問題ではなく、ゴブリンを殺す事を渋っているような時間の食い方だ。最初のゴブリン討伐の時、初撃で一匹討伐することが出来たので「おっ」と思ったのだが、何故だか二体目を殺すどころか嘔吐までしてしまった。


感知できない呪術でも掛けられているのかと思いやむを得ず隠密をやめて代わりに殺してしまおうかと思ったが、気がふれたように何発もゴブリンに魔術を撃って殺していた。


この時にようやくイヴが初めて自分の手で生き物を殺したという事を思い出し、リヴィアナは最初はやはり自分も同伴で魔獣系の魔物から慣らしていくべきだったと反省した。


もうやめてしまおうかとも思ったが、自分の娘は自分の想像よりも心が強いようだった。


ゴブリンと自分など、比べるまでもない実力差があるため逆にゴブリンの事など考えられないから忘れていたが、ゴブリンの知能は感情を持つ程度に高い。


()()()という意識はとても強いだろう。



(頑張れ・・・イヴちゃん!)





随分とゴブリンを殺してきた。

ここまで来るのに3回ほど胃の中身をひっくり返してしまった・・・。


脳髄や内臓をぶちまける瞬間ってこんなにグロい。最初に比べれば幾分かは慣れたけれど。



「・・・ゲェィガ」


普通のゴブリンよりはるかに大きな個体が目の前に立ちはだかる。


雰囲気とか立ち振る舞いや単純な体格から、このゴブリンがこの洞窟の主である事を察することが出来た。


「水弾っ!!」


もう命を奪う覚悟はできている。頭を狙ってほかのゴブリン同様に撃つと、圧縮された水はゴブリンの額に当たってから抉ることなく地面に滴る。


「ギィ・・・!!」


俺の魔術がこれしかないと踏んでいるのか、ニタァっと醜悪な笑みを浮かべる。

このゴブリン、中々に知能も高いらしい。


いつからかわからないが、視線を感じていた。恐らくはほかのゴブリンを餌に俺の情報を集めていたのだろう。


「・・・俺の方が、このゴブリンの気持ち考えてたのかもな・・・」


こいつのお陰で少し心が楽になった。

やっぱり、魔物は魔物なのだ。同種であったとしても、強者が弱者のためにその力を使う事は無くて、あくまで弱者は強者に利用される運命。


知能だけが魔物と魔族の違いではないみたいだな。


「水よ、我に従え!水球(ウォーター・ボール)


一つだけ近くに漂わせていた水球を作り直す。


自分と共に移動させるために少量の水しか貯めていなかったが、ここなら大丈夫だ。


「ゲェグ!」


水の貯蓄中にもゴブリンは攻撃をしてくる。両手を振りかぶって俺の頭から叩き潰しに来た。


水球は水魔術の中で最も簡単なため、マルチタスクの難易度もそこまで高くない。


氷壁(アイス・ウォール)


水を壁のように拡げてから凝固させ、地面から伸ばした氷の壁を作って上からの攻撃を防ぐ。


しかし流石にボス級、一撃を防ぐのが限界の耐久度だった。


だが、俺の水球の貯蓄が同時に済んだ。


間髪入れず同じ上からの攻撃をしてくるゴブリン。



真下に潜り込み、真上に向かって最大圧力で水を撃ち込むつもりだ。

ギリギリまで引き付けないと外す可能性がある。もし外せば・・・先は無いだろう。


「・・・水槍(ウォーター・ランス)っ!!」


槍とは言っても巨大化した水弾だ。


自分の全身全霊の膂力から為される慣性にあらがえぬまま、胸部から下顎部にかけて貫通する水槍。


ドシュゥッ!!


水槍の勢いのまま、頭と胴体が吹き飛ばされたゴブリンは後ろに倒れた。





なんとか命中したようだ。

魔術を発動させた瞬間、あんまりゴブリンが怖いんで目を瞑ってしまっていた。


「ふぅ・・・!ん?なんだこれ・・・?」


死んだゴブリンが蒸発して、石のようなものが残っていた。

先程までの光景を思い出してふと後ろを振り返るが、普通のゴブリンの死体はやはり蒸発せずに残っていた。


「うぇっ。なんだこれ、気持ち悪っ」


どう見てもただの石ではなく、まるで心臓のようにドクドクと鼓動し、体温程に熱を帯びていた。


捨てて帰ろうとした瞬間、暗闇からリヴィアナが出てきた。


「おめでと~う!!ごめんなさいね、ゴブリンは余裕だったろうけれどまずは貴女に生き物を殺す覚悟を持たせてからにするべきだったわ・・・あと、それ。捨てないで、持ち帰っておきなさい。きっと役に立つわ。」


「・・・うぅ・・・!!殺す気か、コノヤローっ!!」


何の説明も無しに突然可愛い娘をゴブリンの洞窟に突き落とすなんて、どうかしてるぞっ!!


「あら、親に向かって何?その口は。・・・やっぱり、オークの森に置いてくことにしましょうかしら。」


「アッ、スミマセンデシタオカーサンッ!!」


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