ワッフルコーンのアイスクリーム
兄と喧嘩した。
四つ上の中学生の兄だが、冷蔵庫に入れておいた僕のプリンを勝手に食べてしまった。
中学生の兄で、しっかりもので頭も良い。いつもは、喧嘩など全くしないが、食べ物の件は別だ。向こうは何か話しかけてきたが、口も聞きたくもない。
そんな夏休みのある日。
両親が急に親戚の家に行くことになり、兄弟二人で留守番する事になってしまった。正直、喧嘩中の兄と留守番というのは、嫌すぎた。
両親がいない家で不貞腐れていると、兄がアイスクリームを買って帰ってきた。
「すまん」
その表情は、本当に悪いと思っているようで、逆にこっちも文句を言いすぎたと反省した。
「こっちこそごめんなさい」
素直に謝るしか無いようだった。
こうして二人でアイスを食べた。ワッフルコーンに白いミルクアイスが盛られている。ふわふわで甘い。夏の入道雲でも食べているかのようだ。ワッフルコーンもサクサクで最後まで美味しかった。少し名残惜しいほど。
「ワッフルコーン入りアイスって、アメリカで生まれたらしいな」
「へえ」
物知りな兄は、このアイスの起源を教えてくれtた。
「うん。万国博覧会でアイス屋とワッフル屋が同じところで営業してたらしい。でもアイスの皿がなくなったんだ。で、ワッフル屋がアイスにワッフル巻いて売ったらどう?って提案してできたのがキッカケらしいね」
「へえ。別の店が協力するなんて凄いじゃん」
アイス屋とワッフル屋が協力している所を想像していたら、何だか微笑ましくなってきた。この協力がなかったら、ワッフルコーンのアイスは生まれなかった事になる。アイスの食べ歩きも出来なかったかもしれない。それは、人類にとって大きな損害だ。
「とう言うことで、聡。にいちゃんと協力して夕ご飯作ろう。今日は餃子だ」
餃子作りを手伝わされてしなった。なんだか、体よく言いくるめられた感もするけれど、二人で一緒に作った餃子は美味しかった。
プリンは消えてしまったけれど、まあ、いいか。美味しいアイスクリームも食べられた。
こうして夏休みの兄弟の一日は過ぎていった。