表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひと夏の思い出〜とっても美味しい夏でした〜  作者: 地野千塩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/22

ほぼ鰻

 土用の丑の日に鰻を食べるのは、平賀源内が思いついた商売らしい。


 平賀源内は、江戸時代の蘭学者だったが、鰻屋から相談を受ける。夏は鰻の売り上げは落ちるからどうしたら良いのか、と。そこで平賀源内は、土用の丑の日に鰻を食べるプロモーションを提案し、定着していったそう。


 土用の丑の日に鰻を食べる理由は諸説あるが、栄養素が高い事は事実らしい。質の良い脂質やカルシウムなどの栄養が豊富と言われている。


 ふっくら柔らかな身、甘辛いタレ、照りかえった輝き、山椒のアクセント、タレでぐずぐずになったご飯……。


 ちょいうど今は、土用の丑の日だ。想像していたら、鰻が食べたくなってきた。


 しかし、一つ問題がある。鰻は高級だ。千円越えも珍しくない。


 財布の中身を確認すると、鰻を買う金がない。一応正社員として働いているが、今は物価高。一番削りたいのは食費だったりする。


 それでも、鰻が食べたい!


 そう思った私は、色々とレシピを検索して見る事にした。鰻っぽい何かを作れないだろうか。例えば竹輪や蒲鉾とか。スーパーでは安いジェネリックな鰻を見た事がある。ジェネリックというか、「偽ブランドっぽいな」と思った事は口が裂けても言えないが。


 色々レシピを検索していたら、ナスで鰻を作っても良さそう。見た目はほぼ鰻。


 すぐにスーパーに行き、材料を買いそろえ、ジェネリック鰻を作ることにした。


 本当に鰻っぽくなるかは謎だったが、完成させたのを見ると、ほぼ鰻。甘辛いタレが輝き、良い匂いがする。炭火の焼けるような香ばしい匂いは一切しないが。


 さっそく実食。


 一人暮らしのアパートでアラサー女がジェネリック鰻を食べるのは、客観的に見てだいぶヤバいが、気にしない。冷房もガンガンつけ、涼しい部屋で冷たい麦茶とともにいただく。


 まあ、食感は完全に鰻ではないが、味はほの鰻。タレでぐずぐずになったご飯、山椒のピリ辛アクセントは、何も変わらない味だった。


 そういえば実家も貧乏だった。母嫌は竹輪か何かでジェネリック鰻を作ってくれた記憶がある。


 貧しいながらも創意工夫して楽しんでいた。あの味も思い出すと、決してジェネリック鰻も悪くないのではないか。


 いや、でもね?


 やっぱり鰻食べたい!


 大学時代に元カレにご馳走して貰った本物の鰻の味は忘られない。元カレの顔はすっかり全部忘れていたが、あの照り輝いている鰻は忘れられない。美味しかった!


 というのが本音。


 そもそもこの物価高や増税、インボイス制度とか一体何?


 今までは社畜でほとんど税金や政治のことなんて調べなかったけど、さすがに今の政治家は、いつも以上に酷すぎる。


 ジェネリック鰻を完食後、珍しく税金や政治の事も調べ始めた。


 別に世の中を良くしたいという意識の高さはない。


 土用の丑の日には、本物の鰻をお腹いっぱい食べたいだけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ