彼の話《5》
この世界、魔力が通じなくなってきているんだよね。
いきなり何かって?愚痴だよ愚痴。ちょっと聞いてよ〜ってやつ。
あ、待って待って。
そんな、なんだ愚痴かって顔しないでってば。
僕だって愚痴りたい時もあるさ。だから聞いてってよ。お願い。ね?
でね……最近、悪魔全体が本当に弱ってきていてね。
実体が保てなくなって、思念体としてなんとかギリギリ存在を維持しているんだけど、体に一定の形が無くてふわふわしてしてるから、なんかの拍子にすぐ崩れてしまう。何をするにもヒヤヒヤものだよ。
もし崩れてしまったら?すごい事聞くね君。
まぁ、なんというか……それは……終わりだよ。
どうしようもない。
まぁ、なんとか魔力で存在を維持してるんだけど、それももう時間の問題だね。
大多数の悪魔はもうとっくに消えてしまったよ。僕の知り合いも。
いくら悪魔だって。何年生きてたって。
仲間との別れは……辛いよ……
………………
……ごめんごめん。なんか色々思い出しちゃってさ。
そうそう、僕達悪魔はとある目的で魔界から派遣されててね……ああ、魔界?生まれ故郷のことね。
魔界の悪魔達が弱ってしまったのは人間達の文明が発展したせい。だから、もう一度リセットしようって。
何の事かって?
世界をリセットするんだよ。つまり、世界を最初からに戻すって事。空も大地も海も、人間も。
全て一旦消してやり直そうって。
そんなに気にする事ないよ。だって人間なら絶滅してもすぐにまた創ってもらえるよ。土でも捏ねてさ。
誰が創るって?……そんなの言えないよ。僕悪魔だし。
えっ僕はこんなところで油売って何してるのかって?
やる気がないのさ。僕は。めんどくさいもん。
まぁ一応建前はあるけど、みんなそんな真面目にやってないし。
僕みたいに仕事なんかそっちのけで、人間世界で遊んで暮らしてるのがほとんどだよ、実際。
だって楽しいもん。
知り合いで頑張ってる悪魔いなくはないけど、かなり少数派だよ。真面目なやつだけさ。
げ、まずい。待っててって言ったのに。
ほんとにせっかちだなぁ……『りっくん』は。
ん?いやいや……こっちの話さ。
ちょっと用事ができたからそろそろ切り上げるね。
ごめんね急にバタバタして。じゃ、またね。