彼の話《2》
こんにちは。いや、こんばんは?
今僕はどこにいるかって?
『彼女』の部屋だよ。そこから君に話しかけてるんだよ。脳内に直接……ってやつ?
ああ、大丈夫大丈夫。洗脳とかそういう危険なのはしないよ。約束する。
あれ?今の質問はそうじゃない?なになに〜?
んん?今僕がどの『世界』にいるかって?
……えっ!それ本気で言ってる?
えっ!えっえ〜!そんなこと聞くなんて!
いや〜よく気づいたね、違和感に。賢い人間だね君は!
まぁ、そうかもなあ。
のほほんとおしゃべりしているだけの『この世界』と、ゲームだけど一応本気で世界をかけて勝負している『あっちの世界』。
薄々別物だって気づくよね、勘のいい人は特に。
そう、その違和感は正解だ。二つとも別の世界だ。
今いるこの部屋はあの世界とは別の次元の『彼女』の部屋。もちろん住んでいるのも別の『彼女』。
つまり、分かりやすく言うと『パラレルワールド』さ。これなら分かりやすいだろう?
あっはっはっは。驚いた?
ここの世界は僕の食事場所兼休憩場所で、向こうの世界はゲームで遊ぶところ。
こっちで休んで魔力補給して、あっちで蓄えた魔力使って色々動き回る。そんな感じさ。
そんなしょっちゅう世界往復なんてできるのか?
え、忘れてない?僕一応悪魔だよ?そのくらい余裕だよ。魔力すっからかんでも全然できるよ〜。
真面目な話すると、ここで話しかけている『彼女』とゲームしている『彼女』は同じだけど別人でね。
いや、どちらも本来の『彼女』の一部分というのが妥当かな。
僕はその大元の『彼女』には会った事がないから経緯とかははっきりとは知らないけど……
おそらく、その心に何らかの大きなショック……つまり精神的な苦痛とかかな……を受けて、それに耐えきれなくなった彼女の心が破裂し飛び散ってしまった。だいたいこんな感じだろう。
その時だけ大ショックを受けたのか、それとも傷つき続けてついに耐えきれなくなったのかは分からないけど。
それでね。異次元にまで飛んで散り散りになった心はそれぞれ人格を持つようになって、勝手に動くようになった。
その内の一人がこの部屋の『彼女』、でもう一人がゲームしてる方の『彼女』。
そのどちらも一人の生命、一人の魂として不完全な存在でね。でもだからって二人合わせたとしても全然足りなくて。
なんだか、どうもまだまだ他にも散らばってそうな感じなんだ。
ちょくちょく色んな時空を渡って探し回っているんだけど……なかなか骨の折れる作業だよ。
いったい全部でいくつに分かれたのかも分からなければ、どの辺りに行ったのかも分からない。全然見当もつかないし、ヒントだって無い。
まぁでもそれも気長に探していこうと思ってるんだ。そのうち見つかるさ、きっと。