第四章
重々しい睡魔が僕を誘う。
その誘いにYESと答えてから気を失った。
夢の中に居たんだ。
ずっと前の夢。
輝いていたあの頃の夢。
父さんが母さんを刺殺して捕まった。
行くあてのないぼくは一時的に孤児院に入れられた。
不自由はあるけれど他の孤児と幸せな生活をしていた。が、父親が死んだ。と知らせがあった。
死んだらしい。牢の中で。
死因は誰も教えてくれなかった。
けれど、ぼくは知ってしまったんだ。
大人たちが話している内容が解ってしまったんだ。
父は看守に殺された。
唯一の肉親である父が死んだ。この頃会っていないからか実感がわかない。
それからは遠くを見つめ現実を受け止めきれずのうのうと生きていたのに。そんな生活をしていたのに。前みたいに笑ってはいなかったのに。
ぼくの引き取り先が決まった。
涙が零れそうだった。誰にも必要とされていない僕に。影で何かを言っているお前らに……全力で見返してやった気分になった。
それから数週間して僕の家族に成る人達が救いに来てくれた。
優しそうな顔の両親。もう12歳になる兄。
その全てが、どこか懐かしく新しいのもだった。
小学校でからかわれて泣いてたぼくを兄はいつも守ってくれた。
かつての両親との幸せを知っていたはずなのに今回の幸せは初めて触れる物のような暖かくて光ってて照れくさくも安心できるものだった。
暖かいご飯。
優しい両親。
自慢の兄。
全部、全部大好き。
ぜんぶ! ぜんぶ、ぼくのたからもの!