第三章
親友の身体がたった四袋に収まった。たった僕一人でやるには体力的に限界だ。
しかし虚無を浮かべている暇などない。今直ぐにでも捨てるか埋めるかしなければならないのだろう。
まずは腐りやすい内臓から埋めることにしようか。このアパートから比較的近い山に埋めるとしよう。
暗闇の中ライトを付けずに自転車で走る。やっと山の腹まで来ることが出来た。
5mくらいの深さの穴を掘る。勢い良く内臓の入ったゴミ袋を投げ捨て急いで穴を塞ぐと、人影が見えた。四人組の男女二人ずつだ。厳ついヤンキーと猫なで声のギャル、バレたら通報されるかもしれない。もしかしたら、弱みを握られ金づるにさせる。ストレスの吐き口にされるかしか、使い道のない僕。
木の影に隠れ通り過ぎるのを待つ。通って行ったのを確認し落ち着いて千鳥足で山を降り、自転車に勢いよく跨り駆け出す。一刻も早くこの場から逃げ出したかった。
息が上がり、足が重く、喉が詰まる。凄い嗚咽がする。
必死の思いでアパートに着いた。階段を駆け上がり自分の部屋に入る。
そして一息つく。
外が少しだけ明るんでいる。




