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AnotherSoul  作者: 雨鬼 亜鉛
1/1

“穢れた世界”

人間の心って不思議ですね。

こ の 世 は 汚 れ て い る

汚く穢れが満ちているこの醜い世界で俺達は生きている。

なんて愚かしいんだろうか――――




 響 「俺に触るなっ!」


《ザワッ》


この一言でクラスはざわめき出す

煩い、汚い、視界に入るな気持ち悪い

吐き気がする。

今俺は同じクラスの男に触れられた。恐らく相手は軽い冗談のつもりで。



「潔癖症って大袈裟に言うけど実は大したことねぇだろw」


そう笑いながらその汚らしい手で俺に触れた。

あまりの嫌悪感に堪らず俺は怒鳴り、触れられたブレザーを慌てて脱ぎゴミ箱に捨てた。

どよめき と ざわめき

煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い!

俺は堪らず教室を飛び出す。


俺が、潔癖症になったのはいつからだったのか。

幼い頃はそんなに“清潔”に対して執着があるわけではなかった。

そんな暇もなかった。

俺の父親は半ば無理やり母さんを犯かし、孕ませて妊娠が発覚した瞬間姿を眩ませた。

母さんは大人しそうな顔で凄く優しくて綺麗で、でも生れつき体が弱かった。

母さんはやっとの思いで俺を育てた。が、俺が小学五年の頃、28歳と言う若さで古いアパートの我が家で首を吊って死んでいた。俺が学校から帰ってくる前にとっくに死んでたようだった。

目は飛び出て、口からはだらし無く舌が垂れ下がり泡と血が混じったピンク色の唾液が口から吹き出ていた。

手足には血の気は無く、肌は土気色に変色していた。これが“死”なんだと実感した。

俺は其れに触れた。何故か“美しく”見えた。

ヒンヤリとした温度の無い感触。母さんの生きていた頃にあった肌の弾力は一切無く屍と化した、筋肉が硬直した感触だけが肌から脳に伝わる。

数秒触れた後に我に返り嫌悪感に襲われ俺は風呂場に走り込み服を脱ぎ、ひたすらに体を石鹸で洗い続けた。何十分も、何時間も。全てを。


俺にはそれから何日経ったか分からなった。 2日、それとも5日。下手したら10日だったかもしれない。あの後の空間は“虚無”そのものだった。それ以降の記憶が曖昧で――。


親戚から聞いた話、学校側が俺が無断で学校を休んでいる事を家に電話したが、誰も出ずおかしいと思い大家に連絡したらしい。

しかも母さんから放たれた死体の臭いが隣の住民からクレームがあり、大家が部屋を確認しに行くと屍の母さんと気絶していた俺を見つけ出した。

その後、潔癖症が徐々に悪化し始めた。


気づけば俺は手を洗っていた、さっき触れられた所から汚染が広まって行くのを恐れるかのように。ひたすらに、狂気さえ感じる程。念入りに。

 響 「ハァッ…ハァッ…」

動機が治まらない、気分も悪い。

 響 「おぇ…」

唐突に込み上げる胃液に口元を抑え、躊躇ったが吐き気に耐えられずトイレに駆け込んだ。

込み上げる、胃に入っていた食べ物と酸っぱい胃液に喘ぎながら全てを吐き出した。


その日俺は早退した。


親戚の家の世話になっていた事も一時期あったが“他人”と言う感覚が身体的にも、精神的にもキツく、中学を卒業する頃にはもうアパートで独り暮らしをしていた。

手を洗い続け、何時間も風呂に入る異様な俺に親戚の叔父やその家族は俺を不気味がった。金銭的な余裕もあったから俺に援助はしてくれていて、アパートは家賃を払わずに済んでいる。


ここは言う成れば“城”だった。常に部屋には消毒液を撒き、菌を一切許す事も無く“清潔”だけが許される城。誰もここを汚す事無く無菌で本当に落ち着く。

思考に老けて居ればいつの間にか自分の部屋に着いた―

俺はアパートのドアを開け玄関に置いてあるアルコール消毒液でドアノブと自分の着ていた制服と手を念入りにアルコール消毒液をかけていった。

靴下は家に上がる前に脱ぎ風呂にある水桶にお湯を溜め、そこに浸けた。

シャツ別の桶に入れお湯に浸けもみ洗いした。

そして俺は流れるように風呂に入り全身を洗った。全ての汚れを一切許さずただひたすらに、無心に。


三時間後風呂に上がって髪を乾かし部屋を掃除する。1ミクロンのゴミも埃も許さず掃除していく。俺の気が済むまで。一時間掃除を終えると手を数十回洗ったあと消毒液を手に付ける。そして自分の手も無菌になった事を確認し口と鼻を覆うようにし手の匂いを嗅ぐ。消毒液の匂いを透明になった事を確認し部屋にエタノール消毒液をまいた。部屋全部が消毒液の匂いに包まれやっと心が落ち着いた。手にハンドクリームを塗りそしてベッドに横たわった。

全身の力が抜け自然と目を瞑っていた。





                      ✻

触るな、やめろ、近づくな、汚い、穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い穢い

 響 「うぁぁぁぁぁぁっ!!」

荒い呼吸、全身から吹き出す汗、煩い鼓動

俺は不快感に耐えられず急いで服を脱いで脱いだ服を洗濯機に投げ込み洗いそして体に冷水をあてる。

数分後に落ち着いてきた頭で石鹸で体を洗った。


AnotherSoul第一話を読んでくださり有難うございました!

12話まで出来ているので12話まで毎週月曜日19時にあげられたら良いなと思っております!

感想是非是非!

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