№5 ディオラ王の憂鬱
初老の嘆き。
「なんだあれは」
城のバルコニーから、康治と9人の曲芸とイチャイチャぶりを見て、ディオラ王は
溜息をついた。
「・・・羨ましい・・・って違う」
自分でノリツッコミをする。
そんな仲睦まじい(王はそう見えた)様子を見て、彼はふと幼い頃、聞いた昔話の一文を思い出した。
「暗黒の世が訪れた時、その者降臨する。14人の女たちと共に闇を支配する魔王を討ち倒し、世界は再び平和の光が満ちるだろう・・・」
(ただ今、9人か、まさかな・・・しかし)
「今は、まさに暗黒時代」
王は呟いた。
それから3日後、エスメラルダが王を訪ねた。
「ようこそ、まいられた」
「王様・・・」
王は女王の両手をとったが、彼女のきつい視線を受け、慌てて離す。
「で、用件とは」
「東の暗黒大地でなにやら・・・」
「!・・・東」
「いずれ、バーン王朝どころの問題ではなくなるかもしれません」
「・・・闇が・・・魔が迫っていると」
「はい。今は配下の者に探らせています。しかし、もはや、国同士が争い合っている場合ではありません」
「・・・だが、サン・ウエストガイアが一つにまとまることなど、あるのだろうか」
「成さねば、必ず滅びます」
「・・・ふむ。左様であるな」
ディオラ王は思案を巡らす。
「ところで」
「はい?」
「ワシは死合いの後、まだまだ若い者に負けられんと鍛え直しておりましてな。どうですか、この締まった肉体」
「・・・・・」
「どうです。ワシと今夜・・・」
王はぐっと右腕に力を入れこぶをつくる。
「失礼します」
エスメラルダはそそくさと退席した。
「・・・いけずう」
王は寂しく呟いた。
まだまだ若いモンには負けん。




