№8 ディオラ王国の姫シャロット
ところ変わって・・・。
康治とポランがゴブリンの群れを撃退して、4日が経った。
その知らせはポラ村の北にあるディオラ城にある執務室に届けられた。
重厚な木のテーブルにはうず高く積み上げられた書類、後ろの本棚にはびっしりと書籍が並んでいる。
ランプの光が二人の人物を照らしだしていた。
「メイヤ、それは真なのね」
「はい、姫様」
侍女のメイヤは静かに頷いた。
「ふーん」
ディオラ家第一王女、シャロットは、暫し思案した。
「これであいつとの縁談を断れるかしら」
「といいますと」
「伝説の英雄は蘇ったのよね」
「はい」
「名称はアタシの夫にふさわしい・・・」
「!・・・英雄王、アーサー様との縁談を破棄されるおつもりで!」
メイヤは、シャロットの発言に目を丸くする。
「あいつは、変態ストーカーよ。後は覇道と剣技のみの男」
「姫様・・・アーサー王は申し分のないお方かと」
シャロットは首を大きく振り、メイヤを静かに見つめる。
「私は嫌!親が認めた結婚なんて、なんで、あんな粘着質なヤツと・・・自分の相手は私が決める!」
「姫様・・・そんな事をおっしゃったら、お父上が悲しみます」
「メイヤ、アタシの人生なの・・・それに英雄が結婚相手ならば父も文句はないでしょう」
「しかし・・・」
「いいから、話をすすめなさい」
「はあ・・・」
メイヤは頭を抱えうなだれる。
「どうしたの?」
「いいですか、姫様・・・現れた英雄はルーラン=コォジィ・・・相当のブ男です。おススメしません」
「ブ男・・・おもしろい、アタシの美しさがより際立つわ」
「しかも階級は戦士だと思われます」
「戦士?英雄にしてはずいぶんね・・・武器は?」
「素手だと聞きました」
「・・・ふん、それ相当の武器は必要ね・・・デュランダルとか」
「えっ!・・・聖剣デュランダル」
メイヤは驚き呟いた。
「称号は申し分ない。階級はせめて騎士に、そして伝説の武器デュランダル・・・を携えている、このくらいあれば、アタシの相手に不足はないでしょう」
「しかし、アーサー王が縁談の破棄を認めてくれるでしょうか」
メイヤは危惧を口にする。
シャロットは毅然として言った。
「いいから、急ぎ英雄に召集令をだしなさい。」
物語は風雲急をつげるなり~。