№6 勇者様のお目覚めですっ
焼き豚っ。
「よくもメロンたんの大事なご尊顔を・・・許すまじ!」
康治は怒りで我を忘れる。
ポランは後ろを振り返る。
「勇者様・・・はっ!赤き紅蓮の髪は怒りの証、逆らうすべての者を焼き払う」
彼女は伝説の一文を思い出し、呟いた。
康治の赤髪が燃え上がり、全身に広がりはじめている。
彼はゆっくりと歩きはじめる。
彼は彼女の横を進む。
「・・・勇者様」
「メロンたん、あいつは俺が倒す」
「・・・勇者様、残念ながら私は・・・メロンじゃないです、ポランです」
「・・・・・・」
そのツッコミには返答せず、康治はキングゴブリンと対峙した。
紅蓮の炎に包まれる康治。
怒りは頂点に達する。
「オマエモゴロス!」
康治の頭上高く大槌は振り上げられ、渾身の力で振り落とされる。
激しい衝撃音。
「ヴヴヴヴッ」
「どうした?」
キングゴブリンは確かに、康治の頭上に大槌を振り下ろしたはずだった。
彼の頭は鋼のような硬度となり、大槌を弾いた。
キングゴブリンは思わず、大槌を落とす。
「来いよ」
康治はクイックイッと手招きをする。
「オボボボボボーう!」
キングゴブリンは突進して来る。
「ぎんっ!」
康治は目力を擬音で喋った。
「その黒き眼は、世界のすべてを知る」
ポランは諳んじる。
キングゴブリンの動きが止まる。
魔物の瞳に恐怖が宿る。
「どうした終いか」
「・・・ウブォ、ウブォ」
キングゴブリンの足がすくんでいる。
「メロンたんを傷つけたお前の覚悟はそんなものか!」
(ああ、勇者様・・・私の為に・・・でも私はポランです)
「トン(豚)ファイヤーボール(火球)」
さらなる業火の炎に包まれた康治は焼豚・・・いや巨大な火の玉と化す。
キングゴブリン目掛けて、突進する。
「グギュアアアアア!!!」
康治は一撃にして、キングゴブリンを撃退した。
ローストハム。