№5 やっぱり彼女はメロンたん
ポラン活劇。
二人は、ゴブリン目掛けて走り出している。
「邪悪な魔物め」
ポランは叫んだ。
「ちょっと君、あれだけの魔物がいるんだよ。君戦えるの?勝てるの?」
康治は不安を口にする。
「戦いは少々。でも、私は勇者様を信じていますから」
真っすぐな目をして、ポランは言った。
途中、彼女は木の枝を拾うと、それにまじないをかけた。
「今はお祓い棒がないから、とりあえずこれで」
彼女は右手に枝を持ち、左手で康治を引っ張る。
ゴブリンは棍棒を持ち、婦人に襲いかかろうとしていた。
ポランは素早く、ゴブリンの懐に入り込み、木の枝を一閃する。
「魔滅!」
ゴブリンは消滅した。
「おお」
康治は思わず、感嘆の声をあげる。
「勇者様、見ててくださいね」
ポランはそう言うと、康治を離し、小走りで駆けだす。
軽い身のこなしで、ゴブリンの攻撃をかわし、枝をふるい次々と彼等を殲滅する。
「すっげぇ、やっぱり、魔法少女グリーンメロンたんだ」
康治は呟やき目を輝かす。
無理もない、彼がこよなく愛する「魔法少女大戦 チームMGS VS 超能力軍団」の魔法少女グリーンことメロンは、神社の宮司夫婦の一人娘で、攻撃アイテムがお祓いスティック、動きもアクションも酷似なのだった。
(リアルにいた・・・メロンたん)
彼の感動はひとしおだった。
その刹那、ポラン背後から頭上目掛け大槌が振り落とされる。
かろうじて、反転し攻撃をかわすポラン。
「キング、ゴブリンっ」
ポランは呟く。
ゴブリンの2倍の体躯をしたその魔物は、口から涎をたらし獲物を睨んでいた。
「オマエ、ゴロス」
キングゴブリンは地面に大槌を叩きつけると、打ちつけた衝撃で地に大きな穴が出来る。
土くれや石が礫となって、ポランを襲う。
石の礫が彼女の頬をかすめる。
すっと切れた傷から、薄っすらと血が流れる。
「お前~っ!」
康治は怒りのあまり叫んだ。
コォジィ―大いに怒る。