№3 英雄降臨ルーラン=コォジィ
英雄、降り立つ。
目を開けると、光の渦の中に俺はいた。
眩しくて、とても目を開けていられない。
俺はまた固く目を閉じる。
(おい、おい、何が起きているんだ)
身体が軋む、四肢が引きちぎられそうだ。
こんな感覚体験したことがない、恐ろしい、意識が少しずつ遠のく。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
長いこと、じっとしていた。
身震いし続けた時間。
少しずつ、ゆっくりと光がおさまっていく。
瞳を恐る恐る開けてみた。
目が慣れてくると眩しく白らんだ世界が色づく。
そこは見知らぬ世界。
異国の建築物が見える・・・足元には魔法陣?が描かれている。
俺の目の前には、びっくりしたのか、腰を抜かして倒れている老人がいる。
周りには人だかりが出来ていた。
(・・・どこだ、ここは・・・)
俺はスマホをつけようと、ジーパンの腰ポッケをまさぐる・・・というか、スマホもないが、ポッケもない。
俺はくまなく全身を触り、どこかにスマホを入れていないか探した。
血の気が引く・・・スマホ・・・置いてきた。
こいつは、一大事だ。
(・・・どこっ!ここっ)
少し落ち着くと、自分の身体の異変に気がついた。
俺の身体じゃないっ。
なんだ、このおデブ体型は、俺はもやし人間と呼ばれていたんだぞ、身長もだいぶ低くなったような・・・。
服装が何か昔の洋装みたいな恰好をしている。
だがっ!それより。
部屋に置いてきたゲーム。
部屋に置いてきた漫画。
部屋に置いてきたラノベ。
部屋に置いてきたアニメDVD。
部屋に置いてきたっ!メロンたんのカスタマイズまじかのフィギュアっ!
俺は、がっくりと両腕を垂れて絶望した。
何気に後ろを振り返ると・・・そこには天使がいた。
「メロンたん・・・」
思わず呟いた。あの魔法少女グリーンことメロンたん、そっくりの少女がそこにいた。
俺は瞳に仕込んである、萌スカウターで彼女をスキャンする。
長い漆黒の髪の毛を赤いリボンで束ねている、顔は幼な顔、緑の瞳はメロンたんそっくり。
巫女の衣装に身を包み、幼い胸の膨らみと小さなお尻(見えてないけど、俺には分かる)は今後の活躍を期待せずにいられない。
メロンたんはアニメの設定上神社の娘をしており、すべての面でこの少女は、メロンたんと言わざるを得ない。
そうと決まれば、突撃!
俺は本能のまま、少女の元へ歩く。
(彼女、彼女こそが俺のメロンたん)
手を伸ばせばメロンたんに触れられるくらいの距離に来た。
俺は顔を近付けリアルメロンたんを見る。
ほどなくして、メロンたんと目が合った。
俺は、思わず言ってしまった。
「あなたは、メロンたんですか?」
英雄、尋ねる。