№2 ポラン=マロン
ポラン視点ですよ。
私は、光の中で英雄を見た。
伝説の通りだった。
その者、光の中より出でて、赤き紅蓮の髪は怒りの証、逆らうすべての者を焼き払う。
その黒き眼は、世界のすべてを知る。
豊満たる肉体は、無尽蔵の力なり。
彼の言質、行動、すべてを敬え、称えよ、さすれば英雄は我らを導かん。
私は伝説の一文を諳んじた。
ああ、両目から溢れ出す涙が止まらない。
ああ、私の人生は今ここで止まってもいい。
だって、私の英雄が舞い降りたんですから。
私は瞬きもせずに英雄・・・英雄様・・・言いにくいわね・・・じゃあ、勇者様でいいか・・・勇者様を見続けました。
(カッコいい)
私は感動しました。
だって、伝説の一文と寸分違わぬお姿・・・多分・・・うん、そう。
ボサボサの赤髪に、小さなつぶらな黒い瞳、太っては・・・ないけど(・・・いるか)、うん、小太りなそのお身体。
・・・えへっ、私、デブ専なので気にしません。
うーん、でも、よく見ると、本当に勇者様なのでしょうか。
見た目・・・ちょっぴり・・・いや・・・かなり、頼りないような、いや、信じるのですポラン!
この方こそ英雄、そして私の勇者様、信じる巫女は救われるのです。
きゃっ!私の勇者様がこちらを見ました。
でも、ちょ、ちよっと、目が虚ろですね、大丈夫ですかね。
両手をだらりとして、まるでアンデッド(死者)のように、こっちに迫ってきます。
いやっ、大迫力っ!いやー、来ないでっ。
って、何言っているの、私、あの方が勇者様なのよ。
来ていただいて、嬉しいはずなのに、あっ、これが嬉し恥ずかしって事ですね。
きっと、この大きな丸太に紐で縛られている私を助けて一言、「待たせたね」って言ってくれるんだわ。
さすが私の勇者様!
あっ、妄想していたら、リアル勇者様の顔が、どアップで私の眼前に来てました・・・ごめんなさい・・・ちょっとだけキモイです。
勇者様が話しかけてきました。
果たして勇者とは?