№10 はじまりの旅立ち
二人の旅立ち。
旅支度を整えた康治とポランは村の入り口に立っている。
村長は深々と頭を下げた。
「申し訳ない。コォジィ殿、村を救っていただいたのに・・・私達の力では、王国に逆らう事できません」
康治は首を振った。
「いいよ。大丈夫、メロンたんがいるから」
「はい」
二人は顔を合わせ、にっこりと笑う。
「すまんポラン。英雄コォジィ殿を頼んだぞ」
「わかりました。村長」
二人は村長に軽く頭を下げ、王国を目指して歩き始めた。
康治とポランの背後から忍び寄る影があった。
彼は立ち止まる。
「出て来いよ」
気付かれていたことに驚き、戸惑いの表情を見せたゴブリン達が現れる。
「頭の仇討ちですか」
ポランはお祓い棒を身構える。
康治の赤髪がチリチリと焦げはじめる。
「無益な殺生はしたくありません」
ゴブリン達には決死の覚悟がみてとれた。
上半身をかなり前傾させ、今にも二人に襲いかかろうとする。
「くわっ!」
康治はゴブリンを睨みつけ、目力を擬音で叫ぶ。
ゴブリン達は、彼の深遠なる漆黒の瞳に、絶望と恐怖で金縛りにあう。
「行こうメロンたん」
康治はポランの手を引き駆けだした。
二人はゴブリン達が見えなくなる距離まで走り続けた。
「はぁ、はぁ、ここまで来ればもう追っては来ないでしょう。勇者様、少し休みましょう」
「ああ」
その時、康治のお腹が大きな音を鳴らした。
「お腹が空きましたか?勇者様、私もです。お昼にしましょうか」
「うん」
二人は大木の木陰で、ポランお手製の手作り弁当を食べた。
「うん!美味しいよ、メロンたん」
普段の大食いとは違って、ゆっくり味わいながら食べる康治を見て、ポランはとびっきりの笑顔を見せる。
「嬉しいですっ!一生懸命作った甲斐がありました」
二人の昼食中。
馬の蹄音が次第に近づいて来る。
やがて馬に乗った数人の者達が、康治達の元でゆっくりと止まった。
彼らは、ローブを纏い深々とフードで頭を隠して、表情が分からない。
馬から一人が降りると、フードをとって康治に深々と頭を下げる。
「お迎えにあがりました。英雄ルーラン殿」
彼女はシャロットの侍女メイヤだった。
第一章結び
第一章、これにて結び。




