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第七十四話 盟友と駆ける。

「よし、じゃあ行ってみるか!!」


トゥアレグオーナーさんの掛け声と共に、トゥアレグは静かにスタートを決めた。


事前知識で猛々しいエンジンを積んでいることから、街中でも荒々しい感じなのかな、と思っていたら、存外静かで乗り心地も良く文字通り高級車に乗っている感覚だった。


街中を漂うように、滑らかにスムーズにトゥアレグは駆け抜けていった。


シートは、割としっかりホールドするスポーティーなタイプのもので、座面もしっかりしていて長距離でも疲れなさそうな感じであった。


「見た目ちょっと派手だけど、中々乗り心地いいでしょ? 電制サスが中々いい仕事してるんだよ~。」


「はい!ちょっとびっくりしました。スポーツって車名に入ってるもんだから、もっと荒々しいものを連想してましたけど、結構いい意味でまじめな感じがフォルクスワーゲンらしいというか・・・。」


「そこが気に入ってるのよね・・・。見た目はちょっと大人しい目だけど、いざ踏み込めば性格変わったり・・・だとかね!!」


そういうと、おもむろにサスペンションのモードをスポーツに切り替え、丁度バイパスのランプウェイとなった所でアクセルを彼は思いきり踏み込んだ。」


グオオオオオオオオオ・・・・・!!!という、地鳴りをするような重低音を響かせ、大排気量NAらしいダイナミックな吹き上がりをみせ、強烈な加速Gと共にトゥアレグは車速を伸ばしていった。


「うおおおおお~~~!!!」


助手席にいた私も興奮しきりだった。


「はっはっは。中々のもんでしょ?」


不敵な笑みを浮かべて彼はトゥアレグを前へ前へと走らせていく。


バイパスには多少のコーナーもあったが、非常にずっしりと四輪をキッチリ接地させながら安定してコーナーリングを決めていった。


「これだけオンロードでもキッチリ走るけど、ちゃんとデフロックがセンター、リアに備わってるし、それなりにオフロードも行けちゃうのよねえ・・・。その二面・・いや、三面性が気に入ってるのよ・・・。」



街中、あるいは普通にクルージングしている時は高級車のような快適な乗り心地を見せ、このようにダイナミックな走り方をしてもちゃんと応え、そしてラフロードもキッチリこなす三面性は、正にコンセプトである3 in Carを体現していた。


砂漠で覇を争ったかつての盟友は、やはりどこか私の大好きなパジェロと似た雰囲気を持ったものであった。


暫くその辺を回った後、今度は彼を助手席に乗せて、私の代車のパジェロで同じようなコースを回った。


もちろん、トゥアレグに比べたら過激なスペックがあるわけではないが、400キロ軽い車重と、優れたバランスのあるシャーシのポテンシャルを活かして、負けないくらい軽快な走りを見せた。


「いやあ、V70系パジェロも凄いですねええ!! こんないい走りをするとは・・・。」


「フフっ、ありがとうございます!本当にいい車なんですよ・・・・V70系は・・・。」


ステアリングを握る私も思いきり楽しみつつ、あっという間にコースを走り切ってしまった。


その後、彼は結構ギリギリまで予定までの時間を使ってしまったらしく、慌てた面持ちで別れてしまったが、「いつかまたどこかで」と最後に言葉を交わしたので、いつかまた逢えたらな~なんて思いつつ、凛子も自宅までの家路に着いた。


いつもの駐車場に3代目パジェロを止め、私は再びまじまじと、そしてちょっとニヤついて眺めてから、部屋へと戻った。


「へへっ・・・暫くの間、よろしくね!ナナちゃん!!」


続く。


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