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第五十四話 富士の嶺を駆ける。

そしていよいよ受付で料金を支払い、富士ヶ嶺オフロードのコースへと3台は乗り込んだ。

富士ヶ嶺オフロードは山梨県にあるオフロードコースで、ヒルクライムコースからモーグル、すり鉢状のコース、ロックセクションまで多様なバリエーションが用意されていて初心者から上級者まで幅広く楽しめるオフロードコースとなっている。今回は私も含めた三人とも初めて走るコースなので、先ずは外周の優しいコースを三台は連なってゆく。

私はトランスファーレバーを操作してローレンジに切り替える。何気にこのレンジをセレクトしたのは初めてかもしれない。


パジェロエボは並み居る急坂を難なく超えてゆく。荒れた路面でも的確に路面を蹴り、急な坂を登っていくさまはさながらヤマネコの様だった。 いくら登板や降板、少しうねってる地形を通り抜けるところがメインのルート取りとは言え、土の上という不安定な路面を何事もなく安心して楽しく運転していける頼もしさが堪らない瞬間である。


「ああああ・・・・。この角度だと空しか見えないじゃない。ジェットコースターに乗った時以来の恐怖感よ。」


少しばかり青ざめた表情を浮かべ、シートにグッタリもたれかかりながら、ユリはそう答えた。


「アハハ。  でもまだまだこの坂なんて序の口よ。この先はもっと斜度キツイ坂がまだまだあるから覚悟なさい。」


「勘弁してよもおお~~・・・。」


うなだれるユリを尻目に、私はコースをどんどん走り続けた。森林の間をすり抜け、軽いがれ場を走り抜け、パジェロ二台、そしてカイエンは涼しい顔で走り抜けていった。そして、最初はおどろおどろしていたユリも、慣れてきた次第にどんどん楽しくなってきていたようで、特に坂を登り抜き、コースの最高点に達して富士山が目の前に大きく映るシチュエーションになった時は


「うわああ~・・・いい景色じゃない。荒れた道を走り抜けて眺める景色も中々乙なものね~・・・。こういう車だと、こういう体験ができるのがいいわね~。」



と感心しきりであった。オフ四駆の魅力が伝わったようで少し私も嬉しくなった。



外周コースを一通り走り切った後、三台御一行はコースサイドにいったん車を止めて談笑した。



「いやあ~まだ外周だけですけど、中々面白いですね~。」


「ほんとね!あたしもこういうオフロードなんて走ったことなかったけど、思ったより楽しかったな~。カイエンも結構頼もしいし、ちょっと欲しくなっちゃった。涼さんはどうだった?」


「私も中々楽しめたな~。ここは速度域がまだ低いけど、クロスカントリーラリーで走り抜ける道もこんな感じでね、結構それっぽい雰囲気が味わえたっていうかね。トレーニングでも使えそうだな~。」


「流石、涼らしいコメントね。私もそんなラリー出てみたいな~・・・なんて。あ、せっかくだし、他セクションも走ってみない?」


と私は話を振った。三人とももちろん答えはイエスだった。


という事で、今度はそれぞれ走りたいセクションへと向かった。莉緒はもう一度外周コース、涼はモーグル路やがれ場に果敢にアタックし、それぞれスムーズに駆け抜けていっていた。


私もユリを横に乗せたまま、すり鉢状の路面やバンク路、ちょっとしたがれ場を走り抜けた。パジェロエボは自慢の足を綺麗に動かしながら、そして私も上手くそれをコントロールしながら、楽しく駆け抜けた。誰かを横に乗せてオフロードを走るのは今回が初めてだったけれど、こうして二人で盛り上がりながら走るのも中々楽しいなと実感した瞬間でもあった。


三台がそれぞれ思い思いにコースを走った後、もう一度集まって場所を確認し、いよいよ次は今回のメインの目的地である「ふもとっぱら」へと向かった。


久しぶりにキャンプ、それもいつもの仲の良いメンバーでできることに私は心を踊らせていた。 ワクワクした気持ちのまま、私はパジェロエボをグングンと走らせた。


続く。


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