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第五十三話 ヤマネコとペッパーの舞

高速から降りて暫くワインディングロードに差し掛かる。各車、それぞれどんどんペースが上がってゆく。パジェロにとっても、カイエンにとってもワインディングは得意分野の一つである。莉緒の乗るカイエンにはPASMという電子制御サスペンションが備えられていて、車重約2.5トンもある車体を上手く支えいなし、そしてパワフルな4.8リッターエンジンのパワーを路面に的確に伝えるPTMというポルシェ独自の4WDシステムの効果も相まってポルシェの名に恥じないスポーティな一面を覗かせていた。もちろん、パジェロだって負けてはいない。私のエボも涼の4代目モデルもショートボディでコンパクト、尚且つ軽量な上にバランスのいいシャーシに独立懸架のサスペンション、そして涼の4代目モデルではビルトインフレーム構造のモノコックボディが与えられていることによって、更に低重心&高剛性化が図られていることによって、オンロードでの操縦性も非常に優れたものとなっている。パジェロもカイエンも、ジャンルや成り立ちこそ全く違えど、オンロードでもオフロードでも運転をする楽しさを与える素晴らしい車だ。


程よいRの付いたコーナーたちをパジェロとカイエンは連なったまま、軽快に駆け抜けていく。


私も完全にノリノリなペースで走っていると、ユリが変な汗を浮かべながらグッタリした顔でこちらを見ていた。


「あ、あんた中々に飛ばすわね・・・・ えげつない勢いで景色が流れていくんだけども・・・。」


「あ~ごめんごめん。ついつい血が騒いじゃって・・・。いやあ、めちゃめちゃ楽し・・・」


「でしょうねえ・・・・。しかし、車高高いのにほんとよく走るわね・・・この車。」


と、ユリは少し呆れたような、でもちょっと関心したような顔を浮かべてそう言った。


車中での会話はどんどん進んでいく。


「そういえばユリ、よくお休みなんて取れたわね。お店、忙しいんでしょ?」


「実は今日、リドっちゃんにお店任せてあるの。あの子、私の直属の部下でしょ。結構色々やってくれてるのよねえ・・・。財務管理から人材管理から色々押し付けちゃってるけど、本当に何でもこなしてくれるし・・・・。冗談抜きで今や横浜店のナンバー2って言っていいくらいの働きぶりよ。最早いなかったら成り立たないくらい。」


「そうなんだ・・・・。あれからお店かなり繁盛したって話は聞いてたけど、芹香ちゃんもかなり活躍してたんだね。 かつての良きライバルが、今では戦友になる・・・・なんかいいね。」


「うん。アイドル時代とは形が全く変わったけど、なんとなくあの頃と同じような面白さを感じれてるかな。中々刺激的な日々を送れてるわね。」


「なるほどねえ・・・。ほんと、人間関係なんて簡単に移ろってしまうものだけれど、何がキッカケでまたその縁が生きてくるのかわからないよね。」


「そうねえ。たまたま首都高に行って、マークされてて・・・・。で、こうなったんだしね。あの時も色々大変だったけど、これも何かの縁だったのよね。きっと。」


そうこうしているうちに富士ヶ峰オフロードの案内看板が見えてきた。いよいよヤマネコたちの本領が発揮されるステージが近づいてきて、私は胸の高鳴りを押さえられそうになかった。


続く。



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