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第五十一話 まさかの事実

流石にあって暫くの相手の車を運転するのは若干躊躇したものの、是非是非という事で、私はオーナー同伴のもと、この赤いパジェロエボを運転させてもらう事にした。当然ながら、自分のもの以外のパジェロエボに乗るのは初めてであったから、少しばかり緊張はしたが、オートマ仕様のパジェロエボには単純に興味があったので、お言葉に甘えさせてもらうことにした。

「じゃ、エンジンかけますね。」


オーナーの男性が二ッと笑って『どうぞ』というジェスチャーをしてくれたので、私はキーを捻ってその心臓に火を入れた。お馴染みのクランキング音と共にエンジンがかかった・・・・のだが、何処か自分の車とはまた違う機械音が聞こえる。吸排気系を交換したのとはまた違うサウンドだった。うーん、単なる個体差なのかなあ・・・と思いながらシフトレバーをDレンジに入れて、サイドブレーキを解除し、フッと、アクセルを踏み込んだ時、私は思わずその加速感と『ヒューン』という独特の音にハッとなった。


「もしかして、これ・・・・・。」


「そうなんです・・・・。実はAESのスーパーチャージャーキットを取り付けてあるんですよ。」


不敵な笑みを浮かべて男性はそう言った。


以前、P&Dマガジン(※三菱オフロード4WD車専門誌のこと)で別個体ではあるが、装着例を見かけたりはしたが、本当に付けている個体は初めて乗ったので感動ものであった。


パジェロエボのエンジン自体、当時のオフロード4WDとしては抜群にパワーがあったわけだが、それがより暴力的な物へと変貌していた。アクセルを軽く煽るだけでキューンという独特のスーパーチャージャーの作動音と共に、強烈な加速をもたらした。どうやら脚も変えられているようで、コーナーリングの感覚も非常にしっかりしたものとなっていて、これは凄いな・・・と私は感心しきりなのであった。


「これ、脚も何か変えられてるんですか?」


「ええ、ラリーアートのローダウンサスを入れてあります。街乗りとこうして山へ走りに行くのがメインなのでチョイスしました。中々具合が良くなって気に入ってます。・・・一つ難点を上げるとすればもう新品が手に入らないこと・・・・でしょうかね。」



「もうラリーアート自体休眠状態みたいになっちゃいましたもんね・・・・。」


と苦笑いをしながら私は答えた。


その後も暫く運転させて頂いたが、マニュアルモードでの変速も中々に機敏で、尚且つスーチャーの低速でのピックアップの良さが合わさって、思わず元の駐車場に戻ってくるまで無言のままひたすらに楽しんでしまった。 


「いやあ、ありがとうございます。結構スーチャーとオートマの組み合わせいいですねえ。」


「いえいえ、とんでもないです。我ながら、本当にいいチョイスをしたと思ってます。」


とオーナーの男性は言った。


続いて、彼のパジェロエボだけ乗せてもらうのは流石に忍びなかったので、横乗りではあるが私のパジェロエボにも乗ってもらった。彼のパジェロエボとはまた違う、吸排気系のみのチューン、そしてMTの組み合わせの良さも存分に味わってもらった。


「吸排気系やるだけでもかなり印象違うんですね~。甲高いサウンドも素晴らしくて感激しました!」


と言ってくれた。その後も暫く話し込み、お昼過ぎになったころ、解散となった。それぞれ方向性は違うとはいえ、どの方面でも楽しくかっこよく決められるパジェロエボの魅力に改めて気づいた一日であった。



・・・・そしてその後、同じ知り合いにこの赤いパジェロエボの事を話すと衝撃的な事実が判明した。なんとあのパジェロエボのオーナーの男性は、オリンピックを有望視されながらも、脚に大けがを負い引退し、その後実業団の監督として活躍している。青山洋一という人であったらしい。・・・・・なんてとんでもない人と会ったんだろう、サインもらっとけばよかったなあ・・・・と思った凛子であった。


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