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第四十話 莉緒とドライブデート!?後編

マーロウから出発した後、暫くまた海岸線の道を930で駆け抜けた。相模湾を一望できるパノラマミックな風景に私はとっても感激した。930のウィンドウが比較的多めに取られていることもあって、とても開放的で、海の景色が満喫できた。窓から見える景色に二人で夢中になっていた時、莉緒がさりげなくオーディオのスイッチに手を回す。すると、サザンオールスターズの曲が再生された。音質もとっても良く、まるでオーケストラが生演奏しているかのようなクリアーで丸みのある音だった。私が驚いたような面持ちで聞き入っていたら、莉緒が得意げな顔をしながらこう言ってきた。


「中々いい音鳴らすでしょ、これ。これもレストアした時にオーディオシステム組んでもらったんだ~。カロッツェリアのユニットとアンプにJBLのスピーカー組んでもらったの。デッドニングとかもばっちりやってるから音がクリアーでしょ!なるべくオリジナルの内装の雰囲気を崩さないように組んでもらったこだわりの逸品よ!」


「なるほどねえ・・・。いいなあ~本格的なオーディオシステム・・・・。オーディオに手を付けるとほんとドライブ楽しくなるよね~。私も変えたいなあ・・・。」


「あ、パジェロももしやるなら、言ってね!知り合いのショップ教えるからさ!」


そうこう会話を弾ませながら、930は湘南の道を930はなぞるように駆け抜けていった。


30分ほど走り、そのまま江の島の方へとやってきた。神奈川県の名勝、そして日本百景の一つとして知られる地であるが、実際に来てみると天気がいいのも相まって本当に景色がよかった。特に展望灯台「江の島シーキャンドル」から見る景色は最高で、展望室からは富士山や東京タワー、房総半島が一度に一望できた。こんな贅沢な場所も中々ないなあ・・・と思いながら、莉緒と二人、江の島での観光を満喫した。飲み物を買って、飲み歩きしながら駐車場へと戻ると、莉緒がある提案をしてきた。


「ねえ、凛子ちゃん。よかったら箱根までこの子、運転してみる?」


と言ってきた。流石の私もびっくりしたので


「え??いや・・・いいの?・・・莉緒の宝物みたいな車じゃないのこれ?」


「だからこそ、よ。凛子の腕前を私は信頼してるし、それに凛子にもオールド911の良さを体感してもらいたいから、ね。」


と言った。そこまで言うなら・・・・ということで、江の島から箱根まで私は930を運転させてもらえることになった。


金庫のように重たいドアを開けて、930の運転席に滑り込む。ドアを閉めた時の気持ちいい狭さ、もといタイト感は助手席と同じだった。そして、大きく開けた視界と5連にも連なった計器類は昔の戦闘機のような迫力を醸し出していた。少し重たいクラッチを踏み込んで、少しふにゃふにゃしたシフトノブを操作して、私は930を走らせた。基本的は助手席で受けた印象と同じく、スムーズで扱いやすい感じであった。エンジンは程よいドコドコとしたビート感がありながらも滑らかに回っていくし、街中で走っていてもしっかり排気量らしいトルクがあって走らせやすい。いよいよ西湘バイパスに入り、軽くエンジンを引っ張って回してみると、回転が上がってくにつれて、粒がそろうように軽やかに回るフラット6の気持ちよさが体感できた。そして、高速域でもずっしりとした安定感があって非常に安心感があった。この辺も流石はポルシェといったところか。いよいよ早川インターを抜けて、箱根ターンパイクに入っていく。

料金所で料金を支払うと、私は930をもう少しハイペースで走らせていた。車好きなら誰しも行きたくなる箱根ターンパイクで930。楽しくないはずがなかった。莉緒曰く、コニというメーカーのダンパーに変えてあるらしく、これがいい働きをしていて、コーナーでもガッチリしたボディと相まって非常にピタッと安定した楽しいコーナーリングが味わえた。


暫く走っていると後ろからヘラヘラした男が二人乗った走り屋くさい黒い86が後ろにピタッとついてきた。 道を譲ろうとするもそれでもなおついてくる。どうしようかなあ・・・と考えながら莉緒の方を向くと「やっちまえ」と言わんばかりに薄っすら笑って前に首を振った。



「しょうがない・・・か。」と、いいながら私はシフトダウンし、重たいアクセルを思いきり踏み込み、930を全開走行させた。


カーブが多いわけでもなく、距離もそこまで長くない道なので、数少ないキツめのコーナーを素早く抜けてあっという間にぶっちぎれてしまった。


約40年前の車とは言え、これだけの走りができてしまうあたり、流石ポルシェだなあ・・・と凛子は思った。


その後、頂上のスカイラウンジで車を止め、また莉緒と談笑をしていた。



莉緒がニコニコしながら駆け寄ってきた。


「はい、コーヒー買ってきたよ~!さっきはご苦労様。」


「ふう・・・色々ヒヤヒヤとしたよ・・・・。まあ無事に走れてよかった・・・。」


「どうだった?あたしの930。」


「いやあ、すんごくしっかりしてるし速いしびっくりしたよ・・・。ほんといい車だったよ。運転させてくれてありがと。 それに、今日は本当に楽しかったよ。」


「ふふっ。よかった。あたしも一番仲がいい凛子にいの一番に見せたかったんだ~。だから車仕上がってからなんとかスケジュール開けたの・・・・。今日は楽しんでもらえて何より!」


っと得意げな顔をして莉緒は言った。私も、莉緒とは本当に仲良くさせてもらっていたから、そこまで言ってもらえると嬉しかった。仲のいい車好きの友人と、こうして一台の車を囲んで話す休日も素晴らしいものだと凛子は思った。


「さ、もう夕方だしそろそろお暇しますか!帰りもなんか美味しいもの食べて帰りましょ!」


と莉緒が言った。私もすぐ、「ええ!」と答えた。


二人を乗せた930は深紅のボディを夕日に光らせながら、山を下っていった。


続く。


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