表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
23/156

第二十三話 アルファロメオに駆け寄ると・・・

サーキット走行会の興奮が冷めやらぬ火曜日の事。私はいつも通り、職場に来て事務仕事をしていた。まあ、人間を相手する仕事なので結構精神的に疲れはするのだが、テレビに頻繁に出てくるような人のプライベートの姿を見れたり、色々な一面を伺うことができるので中々楽し・・・・


「おお~い!?なんでいつものとこにドクペがねえんだよおい!!?? 早くよこせ!!」


前言撤回。やっぱりだりい。


というわけで今日も色々なゲテモノ芸能人に囲まれながら過ごしていた。


そしてそんな人たちの中から、またも仲間が一人増えることとなってしまったのだった。


私がいつもの様に仕事を終え、パジェロエボに乗り込んで立体駐車場を後にしようと

した時のこと。ボンネットを開けた赤いアルファロメオジュリアの前に、黒い服装に身を包んだ一人の小柄な女性がうろたえていた。


どうにも落ち着きがなさそうだったので一旦端にパジェロエボを駐車して、彼女の元へ駆け寄った。


「あの・・・大丈夫ですか?車に何かあったんですか?・・・・ってもしかして二階堂美都ちゃん!?」


「・・・・・・・そう・・・だよ・・・・私は・・・・・二階堂・・・・美都。 篠塚さん・・・だよね?」


「そうそう、事務の篠塚です!! 覚えててくれたんだ!」


そう、二階堂美都は我がプロダクションで最近引っ張りだこの不思議ちゃん系新人タレントなのだ。かの有名な二階堂財閥の令嬢さんで、どこか天然なキャラクターが話題となり、徐々に人気を博している。 実は私も、この子がプロダクション入りする時のオーディションに少し携わったこともあって、個人的には少し思い入れがあったのであった。


「美都ちゃんアルファに乗ってたんだ・・・・カッコいいねえ。 それより、何かあったの?ボンネット開けて中まさぐってたけど。」


「・・・・・バッテリー上がっちゃって・・・。どうしたら・・・・いいか・・・・わからない・・・・の。」


といつものちょっと寡黙な口調ながらも泣きそうな顔をして言ってきた。


「ちょっと待ってて。パジェロエボにブースターケーブル(*バッテリー上がりを起こした車と救援する車のバッテリーを繋いでエンジン始動をさせるための道具)積んであるから、とりあえずそれでバッテリー繋いでエンジン始動してみよっか。」


「え・・・うん・・・・あり・・・がと・・・・。」


そう言って、とりあえず私はパジェロエボをジュリアのすぐ前に着けボンネットを開け、手袋を付け、リアゲートからブースターケーブルを取り出し、ジュリアのバッテリーに接続した。


そこから五分ほど待ち、美都に指示を出した。


「じゃあ、そろそろセル回してみて!!」


こくん、と美都が頷くとジュリアに乗り込み、スタートスイッチを押すと・・・・


ターヒャヒャ・・・ブオオオオオオオという勇ましい排気音と共に、ジュリアの心臓が息を吹き返した。


「かかった! かかったよ!!」


美都は心から安堵した眩しい笑顔を浮かべて、こちらを向いてくれた。その後ケーブルを片付け、美都に「そのままカー用品店がディーラーさんに向かって早くバッテリー新品に変えてもらうんだよ~!」と声をかけてから私はそのまま駐車場を後にした。


その次の日、出勤して自分のデスクの元へ行くと何やら手紙が置いてあった。


開けてみると


「昨日はありがとう。無事バッテリーも交換できて本当に凄く凄く助かりました。お礼がしたいので、今週の金曜の7時、退勤後、駐車場で会いましょう。 ではまた。

二階堂美都                                」


と書かれていた。 お礼をされるほど大したことをやったつもりはなかったけど、こうして助けて喜んでもらえて嬉しかった。 やはり人助けはするものだ。


とりあえず、金曜の夜はちゃんと予定を開けておくこととした。


続く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ