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第二十一話 いざ筑波へ!? サーキット走行会その6

そしてとうとうフリー走行の時間となった。 GTOのタイヤの空気圧をチェックした後、コースインすることにした。

走行会のフリー走行は、15分1ヒート制で、間に30分間の休憩を挟む形で行われる。午前午後で2ヒートずつ走り、片付けをしてから現地解散となるらしい。


ピットロードから出ると、まだタイヤが冷えているので、無理はせず周りの様子をうかがいながら程々のペースで走る。


GTOは首都高で行ったテスト走行の時の印象と変わらず、本当に手足の様に動いてくれた。 車重が重く、重戦車と言われたGTOだが、軽量パーツやセッティングの絶妙さからか、それを感じさせない軽快な動きをしてくれた。 また、こうして筑波サーキットを走るのは初めてなのだが、幼い頃からビデオで見たり、ゲームで慣れ親しんでいるので、慣れ親しんだ気がするけど新鮮という不思議な感覚だった。


段々と慣れてきたな~と思い始めてペースを上げて他の車をグングン追い越しながら走っていると、後ろからイケイケガンガンなペースで迫ってくる白い影が迫ってきた。 誰なのかは言うまでもない。ポルシェキラーでお馴染みのあの子だ。


「オオオラオラアア!! みんな道を開けなさーい!!」


相変わらずの狂気に満ちた不気味な笑顔を浮かべながら、ユリはハイペースでシビックRを攻めたてていた。どうやらかなり慣れてきていたらしく、私に向かって手を振りながら並びかけてきたり、他の参加している車をバンバンぶち抜いていったりしていた。


あれだけ出走前は弱気だったのに、それを感じさせないどころか、むしろ調子に乗ってるんじゃないかと思うくらい、ユリはノリノリな様子なのであった。


一方、莉緒は大人しく走っていた。とは言っても、ラインどりとかは正直ユリよりもきれいだし、まだ

飛ばし慣れてくれば、相当ポテンシャルが高いな・・・・。と凛子は莉緒の911の後ろに付きながら思った。


第一ヒートが終わり、パドックに車を止めてお茶を飲みながら休憩していると、何やらユリが渋い顔をしながらシビックRを眺めていた。

私は声をかけてみることにした。


「ユリ・・・・どしたん?」


「・・・・調子に乗って飛ばしてたら車が完全に熱ダレした。」


「ああ~・・・そういう・・・・。」


そう、ユリのシビックはヒートの最後の方は完璧にペースがガクンと落ちていたのだ。聞いてみたところ、案の定エンジンの水温と油温が完全に上がり切ってしまっていたらしい。タイヤもかなりタレてきていたらしい。


「まあ、確かにコースの走り方とか掴めてくると楽しいけどさ・・・・。ただやっぱサーキットとかは車に対する負荷とかもかなり変わってくるし、当然ペース考えて走らないと後が辛くなってくるよ。 まだ3ヒートもあるんだからさ。上手く組み立てて走るのもこういうのの楽しさなんじゃないかな。」


「確かにそのとおりね・・・・。もうちょいアタシも頭使って走るわ・・・・。」


ユリは少し、ほっとしたような顔を浮かべながらそう言った。


次のヒートは、莉緒からのリクエストで私が莉緒の横に乗ってレッスンをすることになった。 最初横に乗れるのかどうかヒヤッとしたが、どうやら主催の人に聞いたところ、許可が下りたので今回こうすることにした。


「じゃあ、凛子ちゃんよろしくね!」


「うん、オッケー! まあ、あんまいいアドバイス飛ばせるかわからないけど、私も頑張ってアドバイスしてみるね!」


そして911はそろそろっとピットロードを後にした。 その後はひたすら莉緒に個人レッスン。 私は助手席からアドバイスを飛ばした。


「はい、一コーナー入るけどまだブレーキは我慢!ここから踏んで!で、5~6割くらいアクセル踏みながらグッと立ち上がって~!」


「オーケーオーケー・・・・そおっと立ち上がってくよ~。」


っとコミュニケーションを上手く取りながら教えていた。

すると、最初の頃と比べてかなりアクセルも踏めるようになってきていたし、かなり順応してきていた。なんと私を横に乗せた状態でベストタイムも記録していたのだった。やはり見込み通り、莉緒はスピード慣れしてくればかなりのポテンシャルを秘めていることが分かった。


2ヒート目が終わると莉緒がウキウキしながら車から降りたのをみて、私もほっこりした。


「凛子ちゃん本当にありがとう! すっごく楽しく走れたよ!! こんなに911をビュンビュン走らせられたの初めてかも。」


「いえいえ~!こちらこそ教えてよかったよ。莉緒も持ち前のスムーズさがかなり活きてて横にいて感心したよ!」


と、言葉を交わした。


その後は3人でお昼休憩ということで、筑波サーキット ドライバーズサロンの中にある食堂で食事を取ることにした。


どこかノスタルジックな雰囲気のあるこの食堂の名物メニューは「もつ煮定食」

筑波サーキットを訪れる人は必ずと言っていいほど食べていかれるというほどの大人気メニューだ。もちろん、3人も揃ってこのメニューを注文した。


お椀いっぱいに盛られたモツをまずは口に1つ運んだ瞬間、思わず顔がほころんでしまうほどのおいしさが口いっぱいに広がった。 味付けは濃い目ながらもどこかやさしい味わいで、尚且つ主役のモツはプルプルで柔らかく、またモツ特有の臭みが少なくて食べやすくて、箸が無限に進んでしまう。 そして極めつけがカウンターに置いてあるオリジナル七味だ。 半分くらい食べたところで投入すると、よりそのおいしさに刺激がプラスされる。

後は残りの汁をご飯にかけてペロリと平らげ、おなか一杯の状態で食堂を後にした。


自分で進んでもつ煮を食べたことはあまりなかったが、ここのもつ煮なら進んで食べたくなってしまうな・・・・。と私は思った。


もう少し休んだら、次は午後の2ヒートが待っている。 後半はもっと思いきり走るぞ!!


私は気合満々なまま午後を迎えた。


続く。 







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