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第34話「レッツ・パーティ」

 マヤの身体は、アイゼン・ジャックの中で石となっていた。

 彼女は、石化の呪いを混入させた液体を体内に注入することによって身体を石化している。

 マヤの意識はランゲ・ラウフにダウンロードされており、ランゲ・ラウフの上位モジュールとして起動されていた。

 そのランゲ・ラウフにダウンロードされたマヤを、彼女はリトル・マヤと呼んでいる。

 いささかやっつけ仕事だったとはいえ、十分リトル・マヤは機能していた。

 その思考はいつものマヤと比べて、遜色はない。

 マヤは、アイゼン・ジャックを通常の巡航速度に落としている。

 およそ時速220キロ、というところか。

 最大戦速として時速1100キロまで加速することはできるのであるが、元々たんなる外骨格マニュピレーターをそこまで無理して加速するのは、危険ではある。

 要塞監獄に残してきたディディのことを考えると、さっさとけりをつけて戻りたいところではあるが余計なリスクはへらしたい。

 それでもあと数分で、クラウスが乗っているらしい飛空船につくはずだ。

 マヤは、意識の中に仮想的に展開される網膜投影ディスプレイの映像にアラームが表示されているのをみる。

 どうやらレーダーと光学センサーでは関知できない熱源が至近距離にきているようだ。

 おそらくこのアイゼン・ジャックとちがってステルス機能をもった機体らしい。

 突然通信回線が開かれ、声が飛び込んでくる。


(待ちかねたよ、ファントム・マヤ)

「誰?」

(君のファンで、キャプテン・スターアンドストライプスという)


 マヤは少し、眉間に皺をよせた。


「もしかして、あのふざけた戦闘支援システム発注したひと?」

(そのとおりだ)


 マヤは、うなり声をあげる。


「あんたが地獄におちればいいと、十回くらいは呪ったわね」

(案外、少ないな。三桁はいくと思ったが)

「そこまで暇じゃあ、ないの」


 キャプテンは、楽しげに笑う。


(こういうとき、ハリウッド映画だとなんていうか知ってるか?)

「興味ないな」


 マヤの素っ気ない返答を気にせず、キャプテンは楽しげにいった。


(レッツパーティ、ていうんだ)

「今呪いの回数が、十一回になったよ」


 キャプテン・スターアンドストライプスは、ご機嫌な笑い声をあげた。



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