ショートショート「未来からのホットライン」
作中に説明が無い場合はN博士とW君の二人が登場します。
N博士:発明家。
W君:N博士の助手兼モルモット。
「博士、今度は何を作ったんですか」
「あれだよ、未来からのホットラインに出てくる、あれ」
「だから、なんですかそれ」
「最近の若者はSF小説を読まんのかのう。まあいいわ、こいつは未来から手紙が届き、過去へ手紙を送る装置じゃよ」
「そんなもの、何に使うんですか」
「大地震に備えるとか、競馬の当たり馬券は何だとか、何かと使い道はある」
「でも、それは過去の自分が見るわけですよね」
「そうじゃよ」
「じゃあ、僕たちにメリットがないじゃないですか」
「そこはほれ、未来の自分たちに期待しようじゃないか」
チン!という音が鳴り、未来からの手紙が転送されてきた。
そこには一言『テストメール』と書かれていた。
「まあ、最初はこんなもんじゃろ。我々も、過去の自分に向けて、この手紙を送るとしよう」
再びチン!という音が鳴り、未来からの手紙が転送されてきた。
『本日のランチ Aセット:アジフライ定食、Bセット:肉豆腐定食』
「これは、食堂のランチメニューじゃな。昼飯時じゃし、確かめるついでに昼ごはんとしよう」
「アジフライはちょっと油っこかったが、メニューはあの手紙通りじゃったな」
博士たちが研究室に戻ると、チン!チン!チン!と鳴り続けており、未来からの手紙がどんどん転送されてきていた。
「何事じゃ、未来で大事件でもあったのか」
『これ一粒でギンギンに……』
『主人がオオアリクイに殺されました……』
そのまんまJPホーガンの名作「未来からのホットライン」がネタになってます。古い作品ですが、名作なので今読んでも面白いですよ。
オオアリクイのスパムメールをネタにした話を作ってみたかっただけ、テクノロジーが進んでもやっていることは、今と変わらないであろうと思って書いたものです。
2019/3/4 修正
・過去に手紙を送れるという説明が足りなかった為、追記しました。
・三点リーダーの使い方誤りを修正しました。