その手を取るのは
今までより短いです。今回は告白回。
傲慢くんは発生が遅かったのもありますが、基本的に感情のスタートダッシュをミスったバブちゃんです。
「なんで、泣いてるんです?」
「 、」
この我輩が、泣いている、はず…が…
「…っ、ぁ!?」
この我輩が、『普通』の人間のように、泣いている…?なんで、だって今までもこんなことはなかった。なにを言われたって泣いたことも悲しくなったこともなかった。
たとえ人間に、天使に。刃を向けられ、突き立てられた時でさえ。罰せようという気さえ、心の奥底で湧き出しもしなかったのに。
さっきまでだってそうだ。感情は表面上でしか出してなどいない。なのに、どうして…?
「寂しかったんですよ、ね」
「ずっと上にいなきゃいけないのに、誰も助けてはくれなかったでしょう」
「力を持っているから、どんな人間だって助けようと考えることすらなかったでしょう」
「きっと、あなたに、いえ、君に拾われなかったら僕もそうなっていたのかもしれません」
「私の中に残っているのかもしれないんです。光帝も、きっと同じように苦しんだのでしょうね」
「寂しいってずっと言えなかったのでしょう。それで、今自分を見てもらえて、泣いてしまったんですよね」
「これまでに泣けなかった分、気づかないうちに苦しくなってたんですね」
「ずっとずっと、辛かったでしょう。寂しかったでしょう、悲しかったでしょう。きっとあなたは気付いてはいなかったけど」
「もう大丈夫なんです、だから…」
「だから、私と一緒に暮らしてくれませんか?」
告白回()。プロポーズを受けるのは魔皇の方。
読み方解説
↓表記 ↓名称 ↓簡単な読み、通称
光帝 オルディネ こうてい